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中国の古典小説ー紅楼夢

2009-08-12 09:09:53     cri    

『紅楼夢』の価値と魅力

 紅楼夢が世に出ると、中国に数多くのファンが現れました。小説の中のラブストーリーはもちろん、数多くの人物に対するイキイキとした描写、それによって、人それぞれが、面目躍如…、そして、清の時代の人の着るもの、食べるもの、社会の様子などなど、まさに、小説でありながら、歴史の本として、参考する価値もあります。

 作者は社会と人生に深い理解をもっています。小説に出た僧侶の口を通じて、世の中には楽しみがあるけど、気ままにできない面が多いと説いています。こんな人生の有様を覚悟しながら、世に下りた宝玉の人生は、実に興味深いものです。紅楼夢という小説は、人生の教科書として、一流のものです。

 また、『紅楼夢』には、登場人物それぞれの性格、そのときの心境、教育レベル、それにその場にぴったり似合った詩が多く出てきました。小説を彩る花と言えますね。そのうち、黛玉が花を葬ったときに詠んだはじめての一句と最後の一句をあげてみます。

 花謝花飛飛満天,紅消香断有誰怜。

 花はとうとう凋み、空へ飛び立ち、満天に舞い散っていった。

 顔から紅が消え、体から香りが断たれるのを憐れむ人など、いるのだろうか。

 一朝春尽紅顔老,花落人亡両不知。

 そしてついに春が尽き、麗しい青春が終わりを告げれば、

 花は舞い落ち、人は世を去り、互いに永遠の別れが訪れる。

 本当に、自分の運命を悲しく思い、宝玉との叶えない恋に心を痛める黛玉の人物像に相応しいものです。

 ところで、読み終わると、紅楼夢が実は未完成の作品だということに気がつきました。もともと前半の80回と後半の40回が、別の作者によるものだというのは、原因なのかもしれませんが、物語の中にちりばめられている詩やエピソードに中に、人物の運命の成り行きなど、いろんな暗示みたいなものが隠されています。紅楼夢は、誕生してから、200年あまり立った今でも、まだ謎が解き明かされていません。それらの謎について、いろいろな研究を行っている人は大勢います。中国では紅に学者「紅学者」と呼ばれます。

 紅楼夢には、字で読み取るもののほか、奥に潜んでいるものが多くあります。紅学者の研究によって、多くのことが解明されました。たとえば、作品の舞台である賈家には、元に春、歓迎の迎に春、そして、探すに春、また、惜しむに春という、元春、迎春、探春、惜春の四人の娘がいますが、実は、この四つの名前から、「春」という漢字をとると、「元 迎 探 惜」となります。これは、「もともと、ため息出るほど嘆(なげ)かわしいものであった」を意味する「原 応 嘆 息」の発音とまったく同じです。

 紅楼夢の作者は苦心して、数多くの同音異義の漢字を組み合わせて、主人公たちの名前を作り上げたのです。そして、人物の名前に限らず、建物の名前や食べ物の名前など、物語にあるすべてには、なんらかの意味、あるいは暗示が隠されています。

 実は、このようなことは、作者が生きていた清の時代の文化統制と、かかわりがあると思われます。作者は、重大な真相を読者に示そうとしていますが、なんらかの原因で、言ってはだめ、ですので、多くのところに、駄洒落や文字遊ぶみたいなものが出てきました。

 紅楼夢は中国の小説の頂点です。紅楼夢が中国の百科全書だとよく言われます。このような言い方はちょっと大げさなのかもしれませんが、小説の中には絵画やグルメ、服装、建築など、いろんなジャンルにかかわっています。ですから、中国の古典文化を研究する際には、紅楼夢が避けられない重要な一環です。


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