「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」
これは決して過言ではありません。黄山は安徽省南部に聳える名山で、中国の十大名勝地の中で唯一の山岳です。また、黄山ならではの景観と言えば、石、松、雲と泉が一つになった独特の景色です。
黄山で有名な峰は72あり、それぞれ特色があります。中でも天都峰、蓮花峰、光明頂は黄山の三大主峰で、全て標高1800メートル以上あります。黄山の山々は、今から2億2000万年以上も昔の古生代にできたもので、その後氷河や風雨による浸食が1億年にわたって繰り返され、現在のような断崖絶壁の景観ができあがったわけです。また、海から流れ込む湿った空気が海抜1000m以上の峰々にあたり、谷間の奥深くでも四季を通して雲や霧が立ちこめ、茶葉の生育に最も適した環境にもなりました。そこで、香り高くふくよかな甘みと、淹れた茶の色が清らかなことで世に知られている「黄山毛峰」という品種が栽培されています。
松は、黄山を代表する植物です。長い年月をかけ、黄山松と呼ばれる独特な種類が生まれました。狭い石の隙間に根付き、木の形が多少歪んでも、太陽の光を求めて上に向かって伸びる独特な姿になりました。その中で、最も有名なのは「客を迎える松」と「客を見送る松」です。1000年もの間、岩山にしっかりと根を張り枝をのばし、強い生命力を垣間見せつつ、観光客を見つめづけています。このほかにも、「怪石」(天に向かって屹立する奇怪な形状の岩山)、「雲海」(この地方特有の気候がもたらす雲と霧)と共に、黄山の「三奇」と呼ばれています。
有名な詩人・李白は「黄山四千仞にして、三十二蓮峰あり、丹崖石柱を挟み、かんたん金の芙蓉あり」と詠じて黄山を「芙蓉の花」と喩え、明の時代の旅行家・徐霞客は「薄海の内外に、徽の黄山に如くは無し、黄山に登れば天下に山無し、観止なるかな」と讃嘆しました。
このように描かれた黄山は1990年、世界遺産に登録され、美しい自然で国内外の観光客を魅了しています。(文:シュ コウ)
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