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協力・交流・貢献

2009-02-23 15:55:01     cri    

協力・交流・貢献

   ―――クムトラ千仏洞保存事業および龍門石窟保存事業成果報告会北京で開催

ユネスコ北京事務所のシング代表

会議場

中国文物局の童明康副局長

 ユネスコ文化遺産保存日本信託基金プロジェクトーークムトラ千仏洞保存事業および龍門石窟保存事業成果報告会が21日午前北京市内の中国文化遺産研究院で行われました。

 ユネスコ北京事務所のシング代表や中国国家文物局の童明康副局長、日本大使館の道上尚史公使および中日両国の専門家が出席しました。

 席上、中日両国の専門家が文化財保護の面で収めた成果や今回の協力プロジェクトを行った意義などについて報告した後、ユネスコ北京事務所のシング代表が「世界文化財保護の面で手本を示した」と述べ、高く評価しました。

日本大使館の道上尚史公使

成果報告を聞くユネスコ北京事務所のシング代表と日本大使館の道上尚史公使(右)


共通した文化や価値観が今回の協力成功の要因

 今回のプロジェクトの協力成功の原因は次の三つが挙げられます。

 一つは、中日両国の文化財保護専門家が主導するプロジェクトです。文化財の保護で、中国と日本側との協力は今まで数多く行われてきましたが、前は主に政府関係部門の役員が主導して進められてきました。ところが、今回は主に両国の文化遺産保護面の専門家が主導するプロジェクトだったため、以前よりその専門性が高まりました。

 二つには、中日両国の専門家が目標を一にして最初から最後まで率直かつ突っ込んだ意見交換を行っていること。2001年から始まったこの2件のプロジェクトは、特に、龍門石窟の保護に対して、かつて中日両国の専門家が保護理念、保護材料の選択また特に、仏像の痛む原因が一体雨水であるか、泉などの地下水であるかについて意見の食い違いがありましたが、今回、いろいろな議論を通して大部分の問題について見解の一致を見ると同時に、相互理解や友情も深まりました。

 三つ目は、共通した文化や価値観が今回の協力成功のもう一つの重要な原因として挙げられます。中国は日本以外にはドイツやイタリア、アメリカなどの外国と国際協力を行った事例があります。ところが、西洋と東洋は風土や文化などの面で違いが大きいので、これらの国と協力する場合、近隣の日本より課題や困難も多くなります。特に、日本は文化財そのもの、文化財が痛む原因、それに文化財保護の方法などの面で中国と共通したところが多いので、協力の過程でほかの国よりスムーズに進められる客観的な条件が整っています。

会議場

会議場

事前調査や準備段階を重視する日本人専門家のやり方が印象に残る

 文化財の保護は慎重にやらなければなりません。なぜかといいますと、結果として必ずいいという結果になるわけではないからです。場合によって文化財に害を及ぼすこともあります。ですから事前の調査が特に求められています。これについて、今回の2件のプロジェクトのマスタープランの設計を担当した中国文化遺産研究院の王金華エンジニアは、日本人専門家の事前調査や資料の収集、特に観測資料の収集や整理の方法がに印象に残りました。「今後、特にこの面で日本に見習わなければなりません」と感想を語りました。

会議場

会議場

文化財を守る地域の人々の意識を高めていく

 92年から十数年間、ずっと中日間の文化財保護の仕事に携わっている日本文化財保存計画協会の矢野和之代表取締役は、数多くの中国文化財保護協力プロジェクトに参加したことがあります。矢野取締役は今後の文化財保護活動について、中国側に対して次のように提案しました。まず一つは文化遺産を守る地域住民の保護意識を高めていくこと。文化遺産の修復や保護活動はほとんど地方政府の指導によって行われてきました。ところが、守っていくのは地域住民です。ですから、彼らの文化財保護意識を高める必要があります。二つには、観光に来る見学者に対して、文化財や文化遺産の大切さ、保存する意義などを説明するガイドを工夫すべきです。

中国文化遺産研究院の黄克忠先生 両プロジェクト中国側マネージャー

保存計画協会の矢野和之 代表取締役

東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センターの岡田健 保存計画研究室長

 最後に、文化遺産は過去と未来をつなぐ架け橋です。クムトラ千仏洞保存事業および龍門石窟のこの2箇所の文化遺産を保護するには、中日両国の関係者は知的交流と修復事業などの面で国際協力を行ってきました。こうした保存研究を通じて共通体験を持つということによって、友人としての信頼感や連帯感を生み出すことができると思います。これは文化遺産国際協力の成果また意義ではないかと思います。(記者:劉非)

 関係資料: 

龍門石窟

 1、 ユネスコ文化遺産保存日本信託基金

 平成元年ユネスコに設置し、平成12年度までに計3,799.8万ドルを拠出。文化遺産として世界的に価値が認められていながら、崩壊の危機に瀕している文化遺跡の保存・修復事業に対し、この信託基金を通じて協力を行っている。

 2、 龍門石窟:河南省洛陽の南約13キロに位置し、北魏から北宋までの400年間で断続的に造営された仏教石窟群で、大小2,000以上の洞窟には、約11万体もの仏像が見られる。現在風化などの自然要因や人為的破壊により損傷が顕著となっている。

 3、 クムトラ千仏洞:敦煌、龍門、雲岡と並ぶ中国4大石窟のひとつ。新彊ウイグル自治区クチャ県に位置する3-13世紀にかけて作られた石窟。中でも唐代に造られたものが多いので、壁画の人物は漢民族風である。亀茲様式の壁画や亀茲文字も残っている。長年にわたる自然劣化と異教徒や外国探検隊から受けた破壊によって荒廃が進んでいた。

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