中国語では、食べ残しの持ち帰りは「打包」と言いますね。また、中国人は外食の場合、食べられる分より多めに注文する習慣があります。特にご馳走の場合、お客さんに誠意を表すためとか、面子や見栄を張るためとか、必要以上に沢山注文する傾向があります。
でも、低炭素なライフスタイルが提唱される今、食卓でのマナーには、「節約」はキーワードになっています。食べ残しを持ち帰るキャンペーンが実施されています。<チャイナライフ>、今日はこの話題に迫りたいと思います。
国連が2010年に発表した統計によりますと、世界ではまだ9億2500万人が飢饉にひんしています。また、毎年、560万人の児童が食糧不足や栄養不良で亡くなっているということです。食糧を節約することは、全人類が直面している共通の課題ですね。
食べ物や物を大切にすることは、世界のエコを進める上で、大事ですね。日本では、物を大切にする言葉として、「もったいない」という言葉があります。「もったいないばあさんという」もったいないことをしていると、もったいな~いといいながらおばあさんがあらわれて、いろいろ教えてくれる子供向けの絵本が70万部を超すベストセラーになっていますし、国連などでも、もったいないという言葉が取り上げられて、もったいないという日本語は、エコの、キーワードの一つになっていますね。でも一方では、食べたいものがなんでも食べられる「飽食の時代」という言葉が、日本では依然として使われています。その二つの言葉の間を行ったり、来たりしているのが、日本の現状でしょうね。
中国では、「民以食為天(民は食をもって天となす)』という言い方があります。去年、ドキュメンタリー「舌尖上的中国(舌の上の中国)」は大ヒットし、人々の美食に対する情熱や熱意がいっそう燃えました。しかし、従来、食を重んずる中国人はどうも食卓で浪費の一面があります。特に外食の場合、食べ終わると、まだ沢山の料理が残っている風景がよく見られます。そのため、食べ残しを持ち帰るキャンペーンが提唱されました。面子を大切に思っている中国人は、食べ残した残飯などを持ち帰るのを恐れているようです。また、中華料理には油っこいものが多くて、持ち帰っても、電子レンジでチンしたり加熱して再調理しても、元の味とはぜんぜん違います。常に食べ残しを食べたら、お腹を壊すという一説もあります。
食べ残しを持ち帰るキャンペーンが実施されてから、賛成の声が高まっていますね。中国人従来の面子を重んずる余計な心配や心理的な負担を捨てて、食糧を節約する理念はみんなの好評を得ています。では、このキャンペーンには、一体どんな内容が盛り込まれているのでしょうか。見ていましょう。
まずは東北の長春の例です。東北吉林省の長春では、一部のレストランに「文明食卓モデル店舗」の看板が掲げられています。「文明食卓モデル店舗」は一体何なんですか。二つのポイントがあります。一つは、注文の場合、ウェーターさんやウェートレスはお客さんの人数によってアドバイスをします。注文がオーバーすれば、店員さんはお客さんに注意するということです。もう一つは、店員さんは進んでお客さんの食べ残しをビニル弁当箱に入れて、持ち帰り用にするということです。
さらに、南の広東省仏山市では、一部のレストランはポイント制を実施しています。食べ残しを持ち帰るお客さんには、奨励ポイントを贈ります。さらに、全ての料理を綺麗に食べ終わったお客さんには、より多くの奨励ポイントが与えられるそうです。これらのポイントは次回注文の場合、現金として使えますよ。
● 中国で一番浪費になりそうな宴会ーー「披露宴」
中国では、披露宴は一番浪費になりそうな宴会と言われています。なぜかと言うと、
① めでたい日なので、普段より豪華な料理が用意されています。料理の量も多いのです。
② 宴会中、いろんな儀式があるので、途中に料理が冷めてしまいます。
③ 儀式を見るとか、新郎新婦に祝福の言葉を贈るとか、集中して食べる余裕がないのです。
④ みんな綺麗な正装で出席するため、リラックスして食べられないのです。結局、豪華な料理は浪費になります。極端ではなく、一部の披露宴では、一口も食べずに残される料理が沢山あるんです。
日本の結婚式では、食事が、和食、西洋料理のフルコース、中華料理の時があるのですが、一番残るのは中華料理ですね。和食と洋食は自分の前に一人前の料理が次々に運ばれるので、出し物の多い結婚式でも、比較的しっかり平らげられます。大皿で、皆で取る中華料理は、何回も取るのも気が引けるし、自分のほしい料理が一番遠いところにあると、ついつい遠慮したりして結局のこそ量が一番多くなりますね。
そのため、いま、北京や上海などの大都市では、バイキング式の披露宴が流行り出しています。このようなバンキング式の披露宴は伝統の披露宴より、料理の数や種類が少ないんですが、リラックスした雰囲気があり、若者の消費理念にピッタリ合い、人気を呼んでいます。これについて、志摩さんはどう思われますか。
バイキングは、日本のホテルなどでも、大人気ですね。好きな物を好きなだけとれるのがいいのでしょうし、お店にとっても、空になった料理だけまた作ればいいという事で、無駄が少ないですね。つまり、残るものが少なくて済むという事で、とてもいいですね。
● <各国の習慣>
食べ残しの持ち帰り、実は多くの国で流行っています。
隣の日本:節約にいろいろ工夫している日本では、メニューの中に「一人分」「二人分」とはっきり記されていますね。写真付きのメニューなどでは、その盛り付けが、何人分なのかわかるように(二人分)とか(四人分)とか書いてありますね。中華料理でも書いてくれてあると便利だと思いますね。
カナダ:人々が外食の場合、食べ残しを独身の方に持ち帰らせる習慣があります。
ニュージーランド:外食はほとんど割勘。食糧を浪費する人はみんなに軽蔑される。家族を大切にしているニュージーランド人にとって、夕食は家族と一緒に食べるはずです。仕事のお付き合いやビジネスの宴会などはほぼ昼食にします。しかも、サラダやピザなど、簡単なファーストフードが主流です。ニュージーランドのように昼に軽食で宴会だとあまり余らないかもしれませんね。あまっても、ファーストフードなら持ち帰りやすいですね。食糧の節約に工夫することは人類共通の美徳とも言えますね。
では、持ち帰った食べ残しをどのように再調理すれば良いのか、いくつかの注意点があります。ここで簡単にご紹介しましょう。
① まずは、ちゃんと冷めてから、冷蔵庫に入れます。食べ残しがちゃんと冷めずに冷蔵庫に入れると、食べ物の内部と外部の温度差によって、内部の熱気は水蒸気に変わって凝結し、ばい菌が繁殖しやすくなります。
② 持ち帰った食べ残しの保存時間はせいぜい5、6時間。食べる時、摂氏100度以上の高温で熱さなければなりません。
③ 全ての食べ残しは持ち帰りに適しているのではありません。肉料理は持ち帰ってもいいんですが、野菜類の和え物は持ち帰らないで下さい。というのは、野菜類の食べ残しが長く置くと、沢山の亜硝酸塩が生じます。それを食べると、ガンの元になるそうです。また、でんぷん類の食べ残し(例えば、ジャガイモなどのイモ類)は4時間以内に食べることをお勧めします。長く置くと、ブドウ球菌が生じ、下痢や胃腸炎を招く恐れがあるのです。
④ 持ち帰った食べ残しを再調理する場合、魚類は4、5分間加熱すれば十分です。長く加熱すると、魚類に含まれるたんぱく質や脂肪、ビタミンが分解されてしまいます。また、肉類を加熱する場合、少しお酢を入れたほうがいいんです。肉類には、豊富なミネラルが含まれていますので、加熱の場合、お酢を入れると、酢酸カルシウムが生じ、栄養分の吸収と利用に有利なのです。最後は海鮮類、海鮮類の料理を再調理する場合、少しのお酒やみりん、葱、しょうがなどの調味料を加えることをお勧めします。鮮度を増すほか、殺菌の役割がありますから。特にしょうがは漢方医学では、殺菌や解毒の特効がありますから。
日本語でいえば「もったいない」とか食べすぎを戒める「腹八分」とか、いくつかのキーワードを自分の中に持っておくことも、大切かもしれませんね。私は「食いしん坊」で「食意地が張っていて」ついつい、余計に頼みすぎて女房に怒られることが多いので、自戒を含めてそう思います。(1月24日オンエア「イキイキ中国」より)
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