21日、61年ぶりの豪雨が北京を襲いました。26日までに、77人が死亡し、190万人が避難し、経済損失が116億元に達しました。北京の夏の雨はいつもなら、強い雨が降っても30分とか1時間で止むことが多いんですが、前回の豪雨は半日降り続けました。死亡した77人のうち、66人の身元が分かりました。そのうち5人は殉職した公務員でした。ほかに、水死した人が46人、感電による死亡は5人、家屋の倒壊3人、土砂崩れ2人、落雷1人、その他4人となっています。
市内の立体交差橋の下に水が溜まって、車の中に閉じ込められた人が結局水死してしまったケースもありました。水の中に入るとドアも窓も水圧で開かなくあるんですよね。それで、自動車には窓を割るハンマーを常備する必要があるんですが、それがなかったようです。それで、豪雨の後はハンマーが大変売れたということです。それと、そもそも街のあちこちに水たまりが出来てしまった、都市の排水システムの問題もあります。
大雨が止んだ後、インターネットで「北京は世界の一流都市とどれだけの差があるのだろうか?」という質問に対して、「下水道の長さの分だけ差がある」と答えた人が多いです。
ここ数年、大雨が降る夏になると、下水道をめぐる論議が必ず巻き起こします。そして翌年になり、また大雨がやって来ると、同じ話を蒸し返します。どうして北京には一流の下水道がないんですか?
「歴史的負債」という理由が一番だそうです。「社会主義建設の初期に、乾燥気候の旧ソ連に倣って制定した下水道の基準が極めて低い」という説明です。どれだけ低基準かというと、「0.5年あるいは0.3年に一度の大雨に対する安全性を確保する」。つまり、1年に2、3回はあふれ出る可能性があります。現在の規準はまず、北京市の二環路、三環路のような主要道路の排水基準は、1年に1度の大雨に対する規準です。つまり、1時間36ミリの降雨量なら対応できます。
一方、地下の排水システムの現行の基準は、「1年から3年に1度の大雨に対する安全性を確保。ただし、天安門広場とオリンピック公園付近の下水管については、5年に1度の大雨が基準」に変わりました。
21日の豪雨は、午後9時までに、平均降雨量が133.9ミリ、市内の平均降雨量は179.5ミリ、一部の地域は300ミリを超えました。そして、北京市の緑地が少なくなっていることも原因の1つです。緑地があれば、80%の水が地下に浸透するので、20%だけの排水で済みます。しかし、北京の緑地は、1975年から2002年の30年間のうち、極端に減少しています。
ごく短い間に、北京では高層ビルが猛烈な勢いで開発され、続々と姿を現しました。それに比べ、地下空間や地下排水路などの地下のインフラ施設は、かなりの遅れをとりました。「地上を重視、地下を軽視」という都市建設方針により、排水システムの構築スピードは、都市の発展スピードよりはるかに遅かったです。
日本の場合もこの前のような大豪雨だと、水たまりができないというのは
難しいかもしれませんが、例えば、東京ですと、地下に巨大なトンネルを掘って雨水を流すようになっています。専門家がかなり前に、「都市による地上と地下への投入資金は1対1であるべきだ」と指摘していました。しかし、時間と手間だけがかかり、政治的効果が見えにくい「地下のブラックボックス」に、一体誰が進んで資金を投入するでしょうか?
とは言え、北京市が排水管網の改造に力を尽くしてきた事実は否定できないという意見もあります。「北京市『十二五(第12次五カ年計画:2011-2015年)』期間における水資源保護・利用計画」が今年2月に発表されました。同計画では、2015年までに89カ所の地下貯水池を建設し、凹型立体交差橋の排水問題の解決を図ることが明言されています。(ooeiei)
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