新疆は中国の北西部にあります。かつてはシルクロードの通り道であり、今も多様な民族が暮らすところです。古くから、ここは中国と中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。毎週この時間は今日の新疆の様子をご紹介します。
蒙古族に伝わる英雄叙事詩「ジャンガール」はチベット族の「ケサル」とキルギス族の「マナス』と共に中国少数民族の三大叙事詩と言われ、第一期国家級無形文化遺産リストに登録されています。新疆で暮す蒙古族の人々にとって『ジャンガール』は誰でも知っている作品で、民間の語り手たちによって何代にもわたって伝えられてきたものです。今日のこの時間は皆さんと共に新疆のホブコサル草原に入り、叙事詩「ジャンガール」文化のルーツを尋ねます。
十月の下旬、北京放送の記者はホブコサル草原を訪れました。このひろびろとした草原には蒙古族ならだれで知っている英雄叙事詩『ジャンガール』が詠い継がれています。しかしこの『ジャンガール』を完全に詠うことができる人は今では今年85歳になる蒙古族の歌手ジャージュナさんしか残っていません。ジャージュナさんのお孫さんの話では、ジャージュナさんは今では『ジャンガール』を自分で詠うことよりも、若い世代に伝えるのに集中するようになったそうです。
このジャンガール文化のルーツについてサブコサル蒙古自治県共産党委員会の張文強書記は「叙事詩『ジャンガール』は12世紀の末から13世紀の始めにかけて、蒙古族の英雄ジャンガールがサブコサル地域とアルタイ地域のあたりで蒙古国を設立した物語だ。2005年、国際ジャンガール文化祭がホブコサル県で開催され、中国国内と16カ国から専門家が参加し、ジャンガール文化をめぐって討議を行った。専門家たちは叙事詩『ジャンガール』は15世紀以後に誕生したもので、ジャンガール文化の創作者は蒙古族のトルグート人だ。また、今の新疆アルタイ山脈からロシア東部のカルムイク共和国までの地域で広く伝えられてきた。ただ、ジャンガール文化の発祥地は新疆のサブコサル地区だということで一致した」と紹介しました。
さて、蒙古族の人々ならだれでも知っている叙事詩『ジャンガール』を完全に詠える人が今ではジャージュナさん一人しか残っていないのはなぜでしょうか?これについて、ホブコサルテレビの蒙古族記者バインさんは「叙事詩ジャンガールを学ぶ形式は数十万字からなる詩を全て口頭で伝え、それを憶えなければばならないので非常に難しい」と紹介しました。
今、ジャージュナさんの願いは叙事詩「ジャンガール」を若い人たちに、特に一番上の孫ニマさんに伝授することです。これに対し、ニマさんは 「叙事詩ジャンガールはわが民族の貴重な文化財で、僕は時間を見つけて、一生懸命に学んでいる。祖父の功績を引き継ぎ、民族文化事業の継続のために尽力したい」と話しました。
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