北京を訪れたことがない方にとって、北京のイメージはたぶん人民服と自転車しかなかったでしょう。でも実際に来てみると、きっとその大都会ぶりに驚くと思います。高層ビルやマンションの建設ラッシュ、洋服やコスメも日本と変わらないし、スターバックスやハーゲンダッツもあちこちにあります。そんな、すっかり都会な北京ですが、ニューヨークや東京やパリなどの国際都市と違う中国らしい、北京らしいモノやコトがいったい何なのでしょうか。引き続き庶民的な北京魅力にスポットを当てます。
グルメの天国「南新倉」
ビルの建設ラッシュで、古い街並みが消えゆく北京。街のところどころに、観光用に古い建物や街並みが保存されているエリアがあります。「東四十条」にある「南新倉」がその一つ。
「みなみ」の「南」に「新しい倉庫」と書く「南新倉」は、そびえ立つ高層ビルの間に、古いレンガ造りの平屋です。もともとは、明や清の時代に、町が急速に発展し、大量の食料が必要となったことを受けて作られた食糧倉庫だそうです。多いときには76棟もありました。その後、兵器や爆弾の倉庫として使われ、現在はそのうちの9棟しか残されませんでした。文化遺産として保護されたこの倉庫街には、いま、レストランが続々登場しています。
日本料理、中華料理、茶館、そして欧米テイストに装飾したフランスレストランや、ギラギラのネオンが眩しい料亭が見えます。そのうち、北京ダックのレストラン「北京大董烤鴨店」を見つけました。クセのない味で食べやすく、サクサクの皮がとても美味しい店です。
店員さんの紹介によりますと、ここのダックの最大の特徴は、ざらめの砂糖に付けて食べる皮。薄く削いでくれた香ばしい皮に、ざらめをまぶして、口の中でダックの油と砂糖がじゅわじゅわと溶ける食感が微妙に美味しかったです。もちろん、蒸した薄い小麦粉の皮に、甘味噌とともに巻いて食べるという通常の食べ方も人気が高いです。また、すりおろしたニンニクや、細かく刻んだ漬物などの薬味と一緒に巻いても、また美味しいです。様々な食べ方が楽しめ、飽きない北京ダック。こちらの店では、ダック1羽98元で、薬味1人に8元となります。老舗よりはずいぶん安いです。
また、レストランのほか、南新倉には現代アートを展示しているギャラリーや、中国の伝統工芸などに関する本を扱っている書店もあります。食事を楽しみながら、ちょっとした暇つぶしのスポットとして、北京では人気を呼んでいます。
スタイリッシュな庶民料理店「面酷」
中国西部・山西省の「山西料理」では、麺の塊を刀で削って鍋に投げ入れ茹でるという「刀削麺」があります。北京では、「刀削麺」の名レストラン、西大望路にある「面酷」という麺類の専門料亭があります。1階はオープンキッチンで、麺を切ったり伸ばしたりして、鍋に投げ入れるアクロバティックな調理風景が見られます。
面酷の麺は、もちもちとしていて、ちゃんと粉の味がします。また、長い麺、ニョッキみたいな麺、豆の粉で作られた粒状の麺など、麺の種類がさまざまで、つけ麺、汁麺、炒め麺など調理法も多種多様です。
おすすめの麺は、酸っぱ辛いスープに入った刀削麺「酸辣湯麺」と、ネーミングがかわいい「炒猫耳朶麺(猫耳たぶ麺の炒め)」です。「酸辣湯麺」は、黒酢とコショウたっぷりのスープが病みつきになる味で、「猫耳たぶ麺」は、耳たぶみたいな形のモチモチ麺を、野菜や肉と炒めた麺で、妙に後引く醤油味です。そして、切れ目のない1本の長い麺「一根麺(一本麺)」は、独特な食感と歯ごたえ、喉越しで名高く、卵やトマト、高菜、肉味噌などのタレから好きなものを選んで、麺を付けて食べます。また、「面酷」のメニューでは、「刀削麺」など中国伝統的な麺の英語名を「チャイニーズパスタ」にしました。面白い発見ですね。北京を訪れる皆さんもぜひ、このチャイニーズ・パスタにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(「イキイキ中国」より)」
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