中国共産党の機関紙、人民日報社はこのほど、ニュースを主とする検索エンジン「人民捜索」(www.goso.cn)のテスト版をスタートさせました。「人民捜索」の運営は、人民日報社と、同社傘下でインターネット事業を展開する株式会社「人民網」の合弁で設立された「人民捜索ネットワーク株式会社」が行います。ニュースに重点を置く検索エンジンとして、信頼性のある検索結果の提供を目指すということです。
日本のNHKに当たるCCTV・中国中央テレビ局が年末にCNTV・国家ネットテレビ局(www.cntv.com)を立ち上げたことは、民間の動画サイトに対する"ナショナルチーム"の挑戦と評価されました。人民捜索の市場参入もこれと同じく、中国のインターネット検索大手「百度(Baidu)」やアメリカの同業大手「グーグル(Google)」に対するナショナルチームの挑戦と見られています。これら"ナショナルチーム"の参入によってインターネット検索市場の構図に変化がもたらされる、と業界関係者の間で予想されています。広州日報が伝えました。
■ 人民捜索 独自の工夫も
人民捜索は「仕事と生活の実用的な情報プラットフォームを全世界の中国人に」をスローガンとして、信頼性のある検索結果の提供を目指しています。こうしたスローガンと目標から、民間の大手検索エンジンとのシェア争いを見据えていることがうかがえます。
このほか、人民捜索はページのデザインにも工夫を凝らしています。トップページにはさまざまなサイトから選りすぐった最新のニュースが随時更新され、スクロール表示されるようになっています。また、最近注目を集めるキーワードも紹介しています。
人民捜索と百度、グーグルはいずれも国内ニュース、国際ニュース、不動産、自動車などのカテゴリーに分かれており、似通った部分が多くあります。ただ人民捜索はこれまでのサイトになかった大きな特徴として、プレビュー表示機能を備えています。検索結果の下側にある「予覧(プレビュー)」にマウスのカーソルを合わせると、ニュースのあらましが右側に表示されるようになっています。
■一筋縄ではいかない 百度、グーグル打倒
"ナショナルチーム"のインターネット検索市場への参入は人民捜索が初めてではありません。国営新華社通信のウェブサイト「新華網」が2008年末に検索エンジン「新華捜索」をスタートさせ、それに続いて今年初めにはCCTVも「央視捜索」(search.cctv.com)のテスト版をスタートさせました。しかし、ひと足先に市場参入を果たしたこれらナショナルチームは大々的な触れ込みとは裏腹に、芳しい成績を残してはいません。
また中国のネット調査会社、アイリサーチ(iResearch)がこのほど発表した2010年1-3月期(第1四半期)の中国インターネット検索市場に関する報告書によりますと、中国市場では百度とグーグルが絶対的な市場シェアを占めており、両社合わせた検索回数は全体の93.7%に達しています。そのうち百度の検索回数がより多く75%以上となっているということです。
グーグルが去年末に中国市場を撤退したことは多くの企業にビジネスチャンスをもたらすと思われましたが、今年1-3月期のデータによりますと、グーグルの撤退によって生み出された市場シェアは予想されたほどではありませんでした。検索エンジンに対する中国のユーザーのロイヤリティー(忠誠度)は想像以上に高く、グーグルの検索回数に大幅な落ち込みは見られません。
人民捜索の市場参入は出遅れた感が否めない、と業界関係者は分析しています。その一方で「過度に商業化した民間の検索エンジンとは違い、"ナショナルチーム"は商業利益をそれほど追い求めることはない。大多数のネットユーザーが求めているものに応えることはできないだろうが、高い信頼性がその分ある。人民捜索の参入後、中国の検索市場でシェア争奪戦が展開されると見られる要因はここにもある」との見方もあります。(翻訳:芋)
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