ここ数年、気候変動、特に地球温暖化が深刻になっていますが、これに対応して、世界では、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を削減する動きが高まっています。それにしたがって、低炭素社会、低炭素経済などの言葉が生まれてきました。中国でも、都市、農村を問わず、低炭素に向けた取り組みが行われています。
北京から南西に15キロほど離れたところに、長陽という町があります。広さおよそ98平方キロで、人口は約5万人。ここでは、2008年、町づくりの計画に初めて「低炭素」という理念が取り入れられました。そのための取り組みとして、まず建築の省エネから取り組みが始まりました。この点について、地元当局の責任者、李軍さんは次のように話しています。
「建築では、プレハブ工法を導入しています。それは、工事の時間を大幅に短縮することができます。1年ではほぼ120日節約できたことがあります。そうすれば、省エネにもなるし、工事のときに発生する騒音や塵、埃を減らすこともできます」
プレハブというのは建築に使う材料を工場で生産して、ある程度組み立ててから、現場に運んで組み上げるというやり方です。この工法は、さきほど李さんが言いましたように、まずは工事の期間を大幅に短くできます。それによって、工場より製造の手段が限られる工事現場では、建築の材料や電気などを節約することができます。 それに、専門の工場で生産するので、雨か風か天候に左右されずに、製品の質の均一化、つまり品質の安定が確保されます。
長陽では、建材の製造でも、低炭素という理念が実現しています。地元の建材製造会社・恒通科学技術有限公司は、北京とその周辺の廃棄物を使って、品質の高い建築材を造っています。社長の孫志強さんにインタビューしました。
「皆さんもご存知だと思いますが、買物に使うビニール袋や農村によく見かけるビニールハウスの上にあるビニールシート、材木を切ったり削ったりするときに出る木屑、麦わら、使えなくなった窓枠、パイプなど、日常生活で捨てられているもののほとんどが、リサイクルできるものです。そういったものは、ちょっと加工すれば、また建築の材料として使えます」
孫社長の話によりますと、それら廃棄物を使って造られた建材は、強さや耐熱効果などが、普通の建築材と比べ全然遜色がないばかりでなく、ある意味、ゴミのリサイクルですから、コストが低く、当然、価格も従来のものより安いということです。今は、すでに長陽に普及しているそうです。孫社長の話です。
「それら廃棄物で造った建材は、資源やエネルギーを節約できるから、とても良いものですが、その良いところを知ってもらい、認めてもらうためには、まず、自分がそれを使わなければなりません。ですから、我々は、今、地元の建築で普及させています。そして、ほかのところにアピールしてみると、すぐ、注文が来ました。今年は、いくつかの省に製品を売り出しています」
地元当局の責任者、李軍さんによれば、これからの目標として、工事の管理や施工、さらには町全体の整備でも、低炭素を最大限に活かすことを目指すということです。そのために、専門のコンサルティング会社を誘って、企画してもらう計画だそうです。(翻訳:鵬)
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