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 北京からのインディペンデント演劇の新鋭、東京の舞台で上演

2014-12-10 15:31:39     cri    

取材・文:李軼豪、撮影:青木司

 11月、東京都内数カ所の劇場で、国際的な舞台芸術の祭典"フェスティバル/トーキョー14"が開催されました。国境、世代、ジャンルを超えて多様な価値が出会い、互いに刺激しあうことで新たな可能性を拓く場を提供するフェスティバルです。2009年より年一度開催されてきたこのフェスティバルに、北京から参加した薪伝実験劇団は、東京の観客に、今年の新作を発表しました。(注:2009年は二回開催)

 劇場に入ると、舞台上に設置された4つのビデオカメラと中央の巨大スクリーンが目に飛び込んできました。「演劇なのに、なぜ舞台上にこれらが?」という疑問は、開演するとすぐに解かれました。

 舞台上には大掛かりな装置はなく、役者たちが、4つのカメラの前で巧みに角度や奥行きなどを変えることで、それぞれの人間の空間が設定されるという仕組みを作り上げていました。

 また、上からの撮影、下からの撮影、ズームの調整により、互いの人間関係やそれぞれの人間の内面まで読み取れるかのよう。スクリーンに投影された映像と舞台上での展開が融合することで、細部と全体がよく把握できました。

 ストーリーは、ノルウェーの劇作家イプセン作の『幽霊』を下敷きに、登場人物とセリフは今の中国を反映した形にアレンジされていました。

 演出家のワン・チョンは、北京生まれの80後世代。北京大学在学中の4年間、演劇が好きで、よく演劇を観に行っていたそうです。大学3年の頃、米国に渡り、演劇を学ぶことを決心したとのこと。海の向こうで修士号を取得後、博士後期課程1年の時、演劇にはやはり実践が大事だと退学して帰国したそうです。以来、6年の間に、20近くの作品を創作しました。

 今年は、昨年のフェスティバル/トーキョー公募プログラムでのアワード受賞の記念公演として、新作『ゴースト2.0』を発表しました。1月から脚本作成、7月、8月に作品創作、9月に北京の劇場で初演を迎えたとのことです。

 終演後、ワン・チョンにインタビューをしました。

・今回の作品を通して、どのようなことを観客に伝えたかったのでしょうか?

 ワン・チョン:ノルウェーの劇作家イプセンが1881年に発表した戯曲『幽霊』を下敷きにしましたが、現代中国の状況を見せたいと思ったんです。具体的に言いますと、「官二代」(官僚の息子・娘)、「富二代」(金持ちの息子・娘)の生活ぶりを再現し、現在社会の問題を暴露したいという想いが込められています。親と子、世代は違うけれど、ゴーストみたいなものが存在している。このことから、『ゴースト2.0』というタイトルにしました。

・舞台上でカメラを導入した目的は?

 ワン・チョン:2011年から、この表現を続けています。表情や細かい部分をクローズアップするのが目的です。この手法を取り入れることで、既存の演劇の表現方法、観客の見方を変えたと言えるでしょう。今までは、舞台上での映画撮影という形で行ってきましたが、今回は、ネット動画の感覚でカメラを活用しました。ですので、ストーリーを語るだけでなく、現代社会における人間とメディアの関係性、現代の世相を取り上げたいと思ったんです。

・日本人スタッフと一緒に仕事して、いかがでしたか?

 ワン・チョン:日本人と一緒に仕事をするのは、今回で三度目です。一昨年、利賀村で演出家、鈴木忠志氏が呼びかけたアジア演出家フェスティバルに参加したのが初めての日本人との作業となりました。また、去年フェスティバル/トーキョー公募プログラムにてアワードを受賞し、今回の公演に繋がりました。日本人スタッフたちは皆さん一生懸命で、彼らの細かな仕事ぶりには感銘を覚えました。大変勉強になりましたね。フェスティバル/トーキョーは、それぞれの演目を観客によく理解してもらうために、シンポジウムやトークなどの関連イベントを重要視していますね。素晴らしいと思います。

・演出を続けてきて、楽しいこと、辛いことはありますか?

 ワン・チョン:楽しいことはたくさんありますね。例えば、観客に作品を見てもらえることや今回のように招聘されたことはすごく嬉しいですね。去年、アワードを受賞したことも、もちろんね。

 一方、辛いこともたくさんありますよ。ライブだから、ハプニングが起こったら直ちに対処しないといけませんし、作品の失敗に繋がりかねません。例えば、今日、本番2時間前にケーブルが壊れてしまったんです。ケーブルがないと、自分が描いていたようなイメージは表現できませんし、とてもイライラしましたね。幸い、日本人スタッフがすぐ近くのお店で購入してくれたので解決できました。とても感謝しています。国際・交流へ

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