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「日米同盟」は安倍氏の「安心の拠り所」ではない

2014-05-01 14:57:52     cri    
 ここ最近、日本が最も頭を悩ませ、感情を高ぶらせ、気をもみもした事はオバマ大統領の日本訪問を置いて他にない。「頭を悩ませた」というのは、オバマ大統領の訪日に際して、一体どうもてなせば満足してもらえるかと心配したことだ。「感情を高ぶらせた」というのは、米大統領の国賓としての訪日は18年ぶりだったからだ。「気をもんだ」というのは、日米間では現在「TPP」交渉をいかにまとめるかが頭痛の種となっており、「TPP」交渉を巡って長く対峙しており、日米関係に不和が生じる恐れがあるからだ。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所学者)

 TPP交渉はまとまらなかったものの、今回のオバマ訪日には安倍内閣にとって最も嬉しい事もあった。「日米共同声明」の発表だ。安倍氏が喜んだのは、「日米共同声明」に、議論の余地のない中国の神聖な領土である釣魚島及びその附属島嶼(日本名・尖閣諸島)にも日米安保条約は「適用」されるとの、ずっと待ち望んでいた文言が盛り込まれたからだ。

 だが、安倍氏が予想しなかったことに、オバマ大統領は日本を発って間もなく、東アジア歴訪の第2の訪問国である韓国で、日本に対する不満を公に表明した。オバマ大統領は朴大統領との首脳会談後の記者会見で、慰安婦問題について日本を厳しく非難。「歴史を振り返るなら、これが実に甚だしい人権侵害行為だったと考えざるを得ない。安倍氏と日本国民は、過去の歴史をより正直に、公正に理解すべきだ」と述べた。米国の大統領が慰安婦問題について、このような厳しい言葉で公に姿勢を表明したのは初めてだったうえ、選んだ場所と時期も非常にデリケートだった。日韓関係は歴史と領土紛争のために対峙し、韓国は慰安婦問題で日本と真っ向から対立している。

 安倍氏は日米同盟が「どれほど」しっかりしているかをはばかりなく鼓吹している。一方、オバマ大統領は韓国で、「言うことを聞け」と日本を批判した。これは何を物語っているのか?つまり「堅固で揺るぎない」と称する日米同盟が決して「一枚岩」ではなく、安倍氏の「安心の拠り所」ではなく、ましてや日本が中国を制約、さらには威嚇するための「切り札」にはなり得ないということだ。

 1950年代に始まった日米同盟の枠組みは本来、冷戦時代の東西対立の「歪んだ産物」だった。いわゆる「防ソ反共」という時代遅れの冷戦対立思想の旗印を掲げた「日米同盟」は、冷戦終結に伴い解消されるべきだった。だが21世紀にはいると、日本は発展し、強大化し続ける中国を牽制し、これに対抗するため、そして米国もアジア太平洋「リバランス戦略」の必要から、とっくに時代遅れのこの「冷戦体制」である日米同盟関係を逆に「強化」する方向へ発展させてきた。いわゆる「同盟関係の強化」に対して日米両国がそれぞれ腹に一物があるとはいえ、1つ確かなのは、日米同盟関係はずっと続いていくことは不可能であり、大きな潜在的危機を秘めているということだ。

 第1に、安倍氏を始めとする日本右翼保守政治勢力は第2次大戦の侵略の歴史を改竄しようと腐心し、さらには第2次大戦後の国際秩序と国際枠組みを変えようとしている。これは第2次大戦中に成立した米国を含む反ファシズム陣営と根本的な摩擦を生じる。考えてもみるといい。日本は第2次大戦の侵略の歴史を公然と否認する一方で、戦火を交えた米国との同盟関係を強化しようとする。これは自己矛盾、自己否定ではないのか?安倍氏は、日本は米国に押しつけられた平和憲法を改正し、敗戦状態から「正常」を回復する必要があり、「正常」を回復して初めて国際社会に一層の「貢献」をすることができると主張し続けている。言い換えるなら、日本の「正常」とは「戦勝国米国が敗戦国日本に押しつけた束縛」から脱することを前提としている。さらに言うなら、日本のいわゆる「正常」の回復とは、第2次大戦後に形成された「中米露英仏」の5大国連安保理常任理事国を基礎とする戦後国際秩序の転覆を目標としている。「第2次大戦前のかつての帝国の威風の回復」という「恨みを晴らす心理」を抱いた日本のいわゆる「米国との同盟関係強化」の動機は米国が深思し、疑念を抱くに値する。動機が不純で裏表がある日米同盟関係が永続的に続いていくことは困難だ。

 第2に、日本が米国から「心からの助け」を得ることは期待しがたい。いわゆる米国が日本の離島を共同防衛するというのは、なおさらに「空手形」に映る。今回オバマ大統領の訪日で安倍氏が表明した最大の成果は、オバマ大統領が「万が一の際に日本の領土を共同防衛する」と明確に約束したことだが、これはせいぜい安倍氏の「一方的な願望であり自己説明」だ。本来の計画は、オバマ大統領は訪日に際してTPP交渉で成果を上げることを強く期待しており、それと引き換えに米大統領として日本の共同防衛を約束するというものだった。だが期待通りに事は運ばず、TPP交渉は訪日終了時になっても何ら成果がなかった。1日遅れで発表した日米共同声明には「米国は日米安保条約の日本共同防衛の義務を尽くす」との日本側が強く期待した内容が盛り込まれたものの、TPPという高度に敏感とはいえない「関税の譲歩」でさえ合意できないのに、極度に敏感な「安全保障共同防衛義務」を語ることがなぜできよう?米側からすると、「日本国内の経済的利益の堅守」と「米国による安全保障面の保護」という両方の利益を得ようとする日本のような「投機家」のために心から力を注ぐことはできない。「日本の安全を守る重任を担う」と同時に「日本の経済団体に支払いをする」ような「赤字の商売」を米国がすることができないのははっきりしている。

 第3に、「日米同盟の強化を名目に、実質的に日本の影響力の強大化を図る」安倍氏の手口は一時的には有効かも知れないが、時間の「推敲と検証」には耐えられず、米国がこれを完全に放任し、日本の勢力が強大化するのを黙認することはあり得ない。もし日本がいつか完全に、正式に、再び軍事大国となったら、米国はどうするだろうか?米国のシンクタンクと上層部はすでにこの想定をし、対処法も考えたものと信じる。以前暴露された、日本が敏感な核物質を大量保有していた件を考えると、この想定はでたらめな推測とは言えない。もし現在の政界の雰囲気を続ければ、今後数年すれば日本が先端兵器保有国となるのは難しいことではない。この想定が現実のものとなる可能性が高い時に、米日同盟の創始者である米国はどう対処すべきか?米国の現在の指導者と後任の指導者が深思熟考しなければならない問題だ。日本の実力(特に軍事力)の台頭は米国の「アジア太平洋リバランス」戦略にとって「福」か「禍」か?日本の実力が強大化し続ければ、米国は日本を制御し続けられるのか?日本は太平洋における米国の覇権に再び挑戦するのだろうか?米国は注意深く考えるべきだ。要するに、「正常」を完全に回復した日本は、米国にとって「福音」のはずがない。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所学者)「人民網日本語版」

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