ここ数年、中国共産党と政府は、権力の制約に力を入れています。また、政府に対する監督に条件を整えるなど、権力の透明化にも取り組んでいます。
5年前に開かれた中国共産党全国代表大会で、「太陽の光の下で権力を行使しよう」というスローガンが注目されました。今年4月、中国共産党中央機関誌の、正しさを求めることを意味する「求是」が、「太陽の光の下での権力行使」というタイトルの温家宝首相の文章を掲載しました。文章は、新しい時期における政府の腐敗取締りの任務を明確に示しました。
これについて、中国人民大学法学院の陳衛東教授は、「権力の透明化は、手順と規則に則って進められるものであり、同時に社会全体の監督と制約を受けることである。そうすることで、仮に権力の濫用があった場合、直ちに発見し、阻止することができる。また、権力の透明化には、手順と規則の制定が前提となる。このこと自体が権力の濫用を防ぐことになる」と述べました。
権力の透明化を実現するための条件について、陳教授は「手順を整えること、そして国民の知る権利を保障することが欠かせない」と指摘しています。
実は、ここ数年、各クラスの権力部門は様々な措置を講じるなどして、権力行使の透明化に取り組んでいます。司法界を例とすると、関心度が高い大きな案件や重要な案件を審理する際、関連情報を随時公開しています。また、できるだけ公開審理を行うようにしています。
中央司法体制改革指導グループ事務室の責任者姜偉氏は、「"知ること"は監督を行う上での前提である。公開・透明化はすでに、中国の司法界では共通認識となっている」としています。姜氏は「わが国の憲法は、"中華人民共和国の一切の権力は人民に属する"と定めており、"知る権利、表現する権利、参加する権利、監督する権利もまた、公民の基本的な権利である"と規定している。国家機密、プライバシー、未成年者に関わる刑事案件を除いて、その他の案件の審理は公開されており、傍聴が可能になっている」と述べました。
司法の公開が推し進められている中、同時に政府も情報公開条例を制定しました。さらに、近年、財政予算と決算の公開にも取り組んでおり、海外渡航費や公務接待費、公用車費用、会議費用などの支出を含めた政府各部門の行政経費の詳細を公開するよう求めています。2011年時点で、92の中央部門が予算を、90の中央部門が決算を公開しています。
このほか、幹部個人の財産申告制度、インターネット告発制度、重大事項質疑制度などの実施によって、"透明化"という党と国を治める上での理念の実現が確実に推し進められています。
同時に、党と政府は、改革の構想と発展という手段で腐敗防止に対応するよう、繰り返し主張しています。これについて、中国共産党中央紀律検査委員会の呉玉良常務委員は、「政府機能の転換を促すために、行政審査制度の改革深化、政府と民間、政府と資本、政府と市場仲介機関の関係を切り離す作業を速める必要が有る。また、幹部人事制度の推進も必要だ。民主・公開と競争を堅持して、幹部の抜擢と管理・監督体制を健全化し、合理化しなくてはならない。人事をめぐる腐敗を抜本的に防いでいくべきだ」と強調しました。
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