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トキ保護、中日協力30年間

2011-05-25 11:06:28     cri    

 5月23日は世界の珍しい鳥類であるトキが国家級自然保護地域の陝西省漢中市洋県で再発見されて30周年となりました。30周年を迎えたこの日、20羽のトキが国家級自然保護地域で再び放されました。

 中国のトキの数は1981年に再発見されたわずか7羽から、現在では8つの個体群、あわせて1600羽あまりとなり、30年間で200倍に増えました。こうして、トキは絶滅の危機から抜け出しました。この間、日本は中国のトキの保護に大きな協力をしています。

 これに対し、陝西省漢中市洋県国家トキ自然保護区管理局の丁海華局長は、「日本が中国のトキの保護事業に資金と設備を援助してきたことが、中国におけるトキの保護事業の発展を促進した。また、私が感動したことは1981年に洋県でトキを再発見した際、日本ではトキが絶滅の危機に直面したが、日本政府は保護組織を積極的に設立しているほか、多くの民間組織も洋県で実地調査を行い、さまざまな形で支援を提供しているということだ。ここ数年、中国政府も専門家や民間団体を日本のトキ保護地域へ派遣し、トキの保護技術をめぐる交流を行っている」と話しました。

 中国国家林業局の発表したデータによりますと、中国はこれまでトキの野生化個体群生息地を2カ所、人工繁殖飼育基地を6カ所を設立しており、トキの個体群の数は1617羽に達しました。このうち、野生化個体群は997羽で、人工繁殖飼育の個体群は620羽となっています。また、日本と韓国のトキを加えると、全世界のトキは1814羽に達しています。

「朱鹮老人」ーー中国科学院の劉蔭増教授

 中国科学院の劉蔭増教授は中国初のトキ再発見者です。そのことから、劉教授はみんなに「朱鹮老人」(トキを愛するお年寄り)と呼ばれています。当時トキを見つけた情況について、劉教授は「科学院は私たちをトキが生存する可能性の高い場所へ派遣して実地調査を行っていた。2回の実地調査結果(2回目の1980年の調査において、洋県でトキの羽を発見した)により、私たちは洋県を再調査することにした。幸い、1981年に第3回目の再調査を行なってやっと7羽のトキを再発見した」と語りました。

JICA国際協力機構・中国林業科学院鳥類バンディングセンターの米田重玄専門家(左2)

 JICA国際協力機構・中国林業科学院鳥類バンディングセンターの米田重玄専門家は、トキの生活習性について、「トキは単独で生存したり巣をつくるのではなく、ある程度に集まったところに巣をつくることが多い。また、トキは平原地区で巣をつくるのではなく、谷間の湿地で巣作りをしているようだ。それは谷間の湿地では蛙やドジョウを捕食しやすいということだ」と説明しました。

JICA国際協力機構・中国林業科学院鳥類バンディングセンターの森康二郎プロジェクトリーダー

 また、どのようにトキの保護と地域住民の生活条件の改善を両立するかという問題に対し、JICA国際協力機構・中国林業科学院鳥類バンディングセンターの森康二郎プロジェクトリーダーは、「日本国民はトキに対して特別な感情をもっており、われわれは中国のトキの保護を非常に重視している。当然だが、トキの生存環境の保護のほか、地域の住民の生活条件をなおざりにすることはできない。実は私たちがいま行っているプロジェクトは人間とトキの調和が取れた共存という問題を解決することだ。トキの保護において最も重要なことは生存環境を守ることだ。そのため、保護地域における農作物に肥料や農薬を使用することはできない。しかし、これは農作物を栽培している住民に影響を与えるということだ。地域の住民の生活とトキの生存環境の保護を両方ともよくしていくため、私たちは肥料や農薬を使用する必要のない有機栽培の梨と栗を普及させている。今後もこの問題を研究し続け、両立できる方法を見つけ出すよう努力していく」と述べました。(取材:ken 写真:巩玲)

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