2009年、各経済体の大規模な経済刺激計画の実施に伴い、世界経済が回復の兆しを見せています。この背景の下で、多くの国は保護貿易主義に反対すると約束したものの、実際は相次いで保護貿易的な措置を講じています。しかし、歴史の経験から見れば、いかなる形式の保護貿易政策も自国の経済を救うことができないだけでなく、世界経済の回復にマイナスの影響を及ぼすことになります。
1929年、ニューヨークのウォール街における株式大暴落に端を発する大恐慌が起こりました。アメリカ政府は翌年にスムート・ホーレー法を定めて、保護貿易政策を採り、2万種余りの輸入製品に高額の輸入税を課し、世界経済に大きな不安を与え、その後、世界規模の大恐慌が起こりました。目下の金融危機に直面する時、世界最大の経済体としてアメリカは再び率先して保護貿易政策を講じ、アメリカ議会は今年、公共事業で米国製品の使用を義務付ける条項を盛り込んだ景気対策法案を可決しました。
また、欧州商工会議所の責任者・アブルジ二氏は「主要な経済体の中にあり一方で、保護主義を振りかざしているのはEUだ」と指摘しました。
「WTO・世界貿易機関の席上で多くの国の閣僚が、各国はみな保護貿易政策を講じているが、これらの政策はほとんどヨーロッパの国によって定められ、実施されているものだと指摘した」と述べました。
アメリカのEUが悪しき前例を作ったため、アルゼンチン、ブラジル、インドなどの途上国もそれに習っています。中国商務省の統計によりますと、今年の第1四半期から第3四半期まで19カ国が中国製品を対象として88項目の貿易調査を行い、関連の貿易額は102億ドルに達しました。
アルゼンチン中国商工協会のタボアダ会長は「みなさんご承知のように中国製品は価格は低廉だが高品質なので、中低所得者層に喜ばれていた。ただ、輸入規制の影響を受け、中低所得者層はより多くの出費で同じ品質の製品を買わざるを得ない。もちろん、これらの国民の負担は重くなる」とした上で、「こうした競争を避け、自国の産業を過度に保護する措置はアルゼンチンの産業発展にとって真の危機だと思う」と述べました。
2009年下半期、世界の主要な経済体が経済成長への予測を上方修正しましたが、高失業率や消費・投資への慎重な姿勢が続くなどの影響によって世界経済の回復力は依然として弱いと見られています。世界銀行のロバート・ゼーリック総裁は「目下の状況から、来年の保護貿易状況はより深刻になる」と警告しました。
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