中国現代文学の翻訳家・泉京鹿さんが、9冊目の訳書『水の彼方 ~Double Mono~ 』(田 原著、中国語原題『双生水莽』)を講談社から出しました。
高校生活を記した原書は、「迷いながら成長を拒む青春小説」として、2007年に中国で刊行後、若者の間で好評を得ました。著者は1985年、武漢生まれの歌手で女優の田原さん。中国では、"新生代跨界才女"(マルチな才能を備えた新世代の才媛)として知られています。
泉さんは、2007年、友人の紹介で著者と知り合り、「作品、そして著者にほれ込み」、出版社に持ち込んで出版が実現したといいます。翻訳に2年近くかかり、この間を「田原さんと幸せな時間を過ごした」と振り返ります。
泉さんは北京在住16年。2003年に初の訳書『ニュウニュウ』(周国平著)を出して以来、7年間で中国のベストセラー9冊を翻訳。昨年は、人気作家余華の代表作『兄弟』で日本で評判となりました。「まだまだ日本に紹介したいと思う中国人作家の作品は尽かない。今後はさらに翻訳のスピードをあげ、少なくとも年に2、3冊は完成できるよう仕事したい」と意気込んでいます。
【リンク】田 原
1985年、湖北省武漢生まれ。2007年、北京語言文化大学英語学科卒業。
2002年、16歳にしてインディペンデント・バンド"跳房子(Hopscotch)"のボーカルとしてデビューし、同年、初の小説『斑馬森林』(南海出版社、中国)も出版。2004年には映画『胡蝶』(麥婉欣監督、香港)にて女優デビューも果たし、同作品にて香港電影金像奨最佳新演員奨(最優秀新人賞)を受賞。以後、音楽、小説、映画の垣根を越えて多彩な才能を発揮し、中国80后(80年代生まれ)を代表するアーティストとして脚光を浴び続ける。
現在は中国国内でドラマの撮影や、若者向け雑誌の編集長として新雑誌の企画を進行中。秋までに新作小説の発表も予定。
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