ブラウン首相の訪問の目的は、主に3日のオバマ大統領との会談と、4日の議会での演説となっています。
3日に行われた両首脳の会談では、金融危機対策で協力し、4月にロンドンで開かれるG20・主要20カ国グループ金融サミットへの準備を整えることが主な議題となりました。ブラウン首相はその中で、「全世界は金融危機対策で協調した行動を取るべきだ。そして、金融業への新しい監督管理措置を打ち出し、透明性を高め、責任追及制度と監督管理を強化しなければならない」と述べました。これに先立ち、イギリスはG20・金融サミットで全世界に向けた新しい政策の提出を望んでいます。これにちなんで、イギリスはアメリカとの間で、双方が受け入れられる力強い計画を打ち出すことを希望しています。しかし、オバマ大統領は財政政策への協調やIMF・国際通貨基金を含む国際組織の再編などの提案に対し、慎重な態度を取っていました。このほか、双方は、NATO・北大西洋条約機構成立60周年を記念する首脳会議の問題について討議し、両国のパートナーシップの強化、気候変動、アフガニスタン問題、イラン核問題、中東情勢などについて意見を交わしました。
周知のように、アメリカのブッシュ前大統領とイギリスのブレア前首相が就任していた当時、反テロ戦争により、両国は緊密な同盟関係を結びました。しかし、ブッシュ、ブレア両首脳が退任し、多くのイギリス人は、両国がこのような関係を維持していけるかどうか憂慮を示しています。現在、世界金融危機の勃発と拡大は、再び両国に協力のチャンスを与えたといえます。ホワイトハウスが出したある声明の中で、「イギリスとアメリカは、特別なパートナーシップを結んでいる。オバマ大統領はブラウン首相と緊密に協力し、ともに世界的な問題に対応していきたい」との姿勢を示しました。これについて、ある専門家は、「これで、イギリスの一部の高官は安心しただろう。今回の訪問は、両国関係のにとって重要な意味がある。両国の『特別な関係』も続いていくだろう」と見ています。
しかし、人々は、今回の訪問から両首脳の友好的なムードを感じ取ることができませんでした。ブラウン首相とオバマ大統領の共同記者会見が「ワシントンが大雪」という理由で、キャンセルされました。また、専門家たちは、「ブラウン首相の訪問は、ブッシュ前大統領が就任後、ブレア前首相がアメリカを初訪問したときとまったく比較にならない。2001年ブッシュ前大統領の就任後、ブレア前首相は大統領の招きに応じてアメリカを訪問した。そのスケジュールには、アメリカ大統領の別荘キャンプ・デービッドでの晩餐会、ホワイトハウスでの昼食会など、4時間にわたる会談があった。一方、今回のオバマ大統領とブラウン首相の会談は僅か30分で終わった。これは、両国の同盟関係がまだ緊密になっていないことを表している。両首脳が個人的な友情を深めるのは、今後の課題になる」と指摘しています。
(翻訳:洋 チェック:安藤)
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