間もなく今年が終わりますが、世界では依然として様々な矛盾や衝突が見られています。大国間の関係で言えば、今年、ロシアは欧米諸国に対し強硬な態度を示しています。特に、グルジアとの衝突前後から、ロシアと西側諸国は軍事面でも対抗するようになりました。ロシアはなぜ強硬な態度を取るのか、ロシアと西側諸国との関係は冷戦時代の再来を意味するのか。
ここ数年、ロシアはアメリカを始めとする西側諸国とコーカサス地域での利権をめぐり対抗するようになり、今年は南オセチアで武力衝突が発生しました。南オセチア自治州はかねてから、ロシアと密接な関係を持ち、グルジア中央政府に反発していました。今年8月にはグルジアと南オセチアの対立が一層深刻化し、ロシアとグルジアの武力衝突に発展したのです。北京放送のロシア駐在記者は当時の様子について次のように振り返っています。
「現地時間8月7日夜から8日の未明にかけて、グルジア軍は大砲や戦車を配備し、南オセチア自治州の州都ツヒンバリを攻撃しました。これを受けてロシア側は直ちに装甲部隊を派遣し、武力衝突が勃発しました。その後、NATO・北太西洋条約機構がグルジアに人道的物資を輸送することを名目に、複数の艦船を黒海に送り、ロシアの黒海艦隊と対抗しました」
衝突発生後、ロシアは引き続き強硬な外交政策を取っています。ヨーロッパに対して、コソボ地域の独立に断固として反対し、西側諸国が南オセチア問題においてダブル・スタンダードの姿勢を取っていることを非難しています。中東に対しては、イラン、シリアなど反米諸国との関係を強化し、中東や地中海地域における影響力を回復させようとしています。また、、ラテンアメリカに対しては、キューバやベネズエラなどと軍事・エネルギー分野での協力を積極的に推進し、影響を拡大しようとしています。
ロシアはなぜ、西側諸国に対しこれほど強硬な態度を取るのか。これについてロシアのメドベージェフ大統領は次のように話しています。
「ここ数年、われわれを厳しい試練に直面させているものは何か。それは世界範囲で配備されているミサイル防衛システムとロシア周辺地域に建設されている軍事基地だ。これはいずれも、NATOの東部拡大によってもたらされたものだ」と述べました。
また、今年2月には当時のプーチン大統領も記者会見で次のように述べています。
「参謀本部や専門家はNATOのミサイル防衛システムがわが国の安全システムに脅威をもたらしていると認めている。これを受けてわれわれは対応せざるをえない。われわれに脅威となっているものをミサイル攻撃目標にしなければならない」と警告しました。
これに対し、西側諸国の専門家はロシアと長期的な冷戦状態に陥りかねないと懸念しています。
また、中国社会科学院ロシア問題の専門家・姜ギさんは次のように述べています。
「ロシアが強硬な態度を取り続けるとは思わない。もし、欧米諸国がNATO拡大やミサイル防衛システムなどの問題においてロシアの利益に配慮すれば、双方関係は改善できると思う。また、エネルギー価格が大幅に下落する中で、ロシアの実力が弱まってきている」と述べました。
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