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中国世界経済学会:景気刺激策の副作用に注意喚起
   2008-11-14 19:33:42    cri

 中国で世界経済を研究する学会「中国世界経済学会」は、13日、北京で年次会議を開きました。このほど政府が発表した4兆元に上る景気刺激策をめぐり、学者たちの間で熱い論議が展開されました。

 多くの学者は、景気刺激策の経済成長への促進効果を肯定するのと同時に、内需拡大や経済構造調整の効果について、「引き続き見守る必要がある」と保守的な見方を示しています。さらに、中国経済は今、輸出と投資を重視し、消費を軽視するという構造的な問題がありますが、これらの刺激策は経済構造を悪化しかねない副作用があるのではと注意を喚起しています。『財経網』が伝えました。

■経済構造の悪化につながらないのか

 中国社会科学院世界経済・政治研究所の余永定所長は、「来年中国のGDP成長率は8%を維持できるだろう。中国は大きな市場と良好な財政状況にあるので、金銭的に経済成長を刺激できるため、経済の発展を確実に促すことができると思う」とコメントしました。

 中国人民大学経済学院の王晋斌教授は、「4兆元規模の刺激策は非常に『強力』で、毎年2兆元の投資は、25兆元あるGDPの8%に相当する。市場に対する期待を回復させることに役立つだろう」と述べました。

 経済成長に対して楽観視すると同時に、多くの専門家は経済構造がさらに悪化することを懸念しています。余所長は、「景気の悪化を防ぐことばかりではなく、経済構造の改革を怠ってはいけない。大規模な刺激策を実施すると共に、経済構造の悪化を回避するよう努めなければならない」と警告しました。

農村における設備投資の加速など、4兆元の投資計画の中には政府の経済構造改善への配慮も反映されていますが、消費を刺激することによって経済構造の改善を図るやり方は、効果が出るのに時間がかかるのに対して、大規模な設備投資は効果が現れるのが早いということから、余所長は、「ある程度の経済構造の悪化は避けられないのかもしれない」と心配しています。

王教授によりますと、4兆元の経済刺激策は中国経済の構造を調整する大きな作用は及ぼしません。反対に、将来の経済構造が製造業への依存性を高めてしまいます。さらに、大規模な投資は国有企業が主体となって実施するので、国有経済が占める割合を高める結果を招いてしまうということです。

■輸出依存をやめ、内需を拡大せよ

 国内消費が本当に刺激されるかはまだはっきりしていません。雑誌『財経』の主席経済学者沈明高氏は、「4兆元の経済刺激策で現在国内の経済発展が直面している困難が解決できるものでもない。来年、安定した経済成長が保てたとしても、輸出依存の現状を変えない限り、輸出企業に対する『苦痛指数』は上昇するばかりだ。したがって、国内消費を刺激するほうが重要だ」との見解を示しました。

 このほどの輸出税還付率を引き続き引き上げる政策について、余所長は、「中国は輸出市場を容易に放棄してはいけませんが、輸出税還付率と人民元の切り下げによって輸出を刺激することも望ましくない。いま取るべきはその中間的な政策である。2008年の後半、中国政府はすでに3度も商品の輸出税還付率を引き上げている。最近では11月12日に国務院常務会議で引き上げを可決した。3770項目の労働集約型製品、電気機械製品および他の影響を大きく受けた製品を対象に輸出税還付率を引き上げた」と説明しました。

 沈氏は、「このような輸出刺激政策は外部経済の後退によって相殺される可能性がある。輸出企業が輸出税還付を頼りにしているとしたら、それは頼りにならない可能性が大きい。一方で、いまは成長方向を内需に転換させる時期にあたり、特に消費に向けさせる絶好のチャンスだと言える」とコメントしました。

 中国社会科学院世界経済・政治研究所の何帆所長補佐は、「輸出税還付率の引き上げは輸出企業に対して短期的な保護をあたえることに止まっている。来年外部需要が減り、更なる大きな衝撃が襲いかかってくるときに、輸出企業は逃げ場をなくすだろう。いま本当にやらなければならないのは、巨大なサービス業の市場を開放し、輸出企業が生き延びる場を提供することである」との見解を示しました。

■来年以降、デフレになるか

 中国経済にとってもうひとつの懸念要素は、8月以来、多数のマクロ経済の数値が予想以上に低く、デフレの危険が出てきたということです。一部では、来年のデフレはアジア金融危機の後よりもずっと深刻なものとなるとの見方が出ています。

 沈氏の分析によれば、二つの相反する要素が来年のデフレの状況に影響します。「ひとつは、外部経済の後退によって、輸出企業が国内市場へ傾き、国内供給が増加すると同時に、成長が遅くなることによって需要が増加するペースが落ち、デフレの圧力となることである。一方では、この数年の経済構造、特に企業の所有制度で大きな変化があり、私有企業の割合が増加したということだ。彼らは経済の不確定性に対してより敏感に反応し、より早く調整できる。多くの私有企業はすでに生産と投資を減らしている。よって、来年著しい供給過剰になることはなく、デフレ圧力も人々が想像するほど大きくない」ということです。(翻訳:黄恂恂、チェック:安藤)

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