日本市場に溶け込む中国製品
中日間の経済・貿易が拡大するにつれて、双方の商品が双方の市場に流れこんできた。両国の消費者は、最初はその商品が「中国製」なのか「日本製」なのか意識していたが、いまやほとんど違和感を感じなくなってきた。
百円ショップ支える中国製品
銀座に大きな広告を出した中国の大手家電メーカー・ハイアール(写真・王衆一) 夜の原宿。「ダイソー」(大創産業)の百円ショップは、人で込み合っている。安い日用品を売る店として、その人気は、ファッションの店にほとんど負けてはいない。ここにあるほとんどの商品は「Made in China」のラベルがついている。
渋谷。旅行で日本に来た張さんは、叔父さんのためにスーツを選んでいた。叔父さんが言うには、日本のスーツはできがよく、デザインもいいので、ぜひ買って来てくれるよう頼まれたのである。しかし、いくつかの店を見て回ったが、気に入ったスーツは7、8万円もして高すぎるし、3、4万円の値段が適当なものは中国製と書かれている。いろいろ迷ったあげく、最後に張さんは、やはり「Made in China」のスーツを一着買った。値段の違いを除けば、日本製となんら違いがない、と彼女は思ったからだ。
安価で、実用的な100円グッズは、普通の日本人の日常生活には欠かせないものである。それは、街を歩けば100円ショップや99円ショップがすぐ目に飛び込んでくることからも分かる。
20世紀の末から今世紀の初頭にかけて、日本の小売業界に、100円ショップが大量に出現した。よく知られているように、この100円ショップを支えているのは「値段が安く、品質が良い中国製」である。
たとえば、「ダイソー」は現在、日本で2400軒以上の店を持っている。店内の商品は、どれも優れて日本的なものばかりであるが、そのほとんどが中国で製造されている。中国に設立された多くのダイソーの製造工場は、日本からのデザインと注文を受けて製品をつくり、製品は全部、日本に送られて販売される。こうした商品は、あまり目立たない小物にすぎないが、一般の消費者たちに実益をもたらしている。
100円ショップばかりではない。日本の電器、衣料、玩具のメーカーも次々に中国で商品を生産する道を選んだ。日本企業は低コストの労働力を必要としており、中国企業が成熟するためには、日本の資本や技術面での協力が必要である。だから両者は、密接に結びついて、現在、相互依存関係を形成しているのだ。 ITがもたらしたチャンス 中国は日本に、安い日用品を大量に輸出しているが、単純なものばかりではなく、IT技術を使ったフラッシュメモリーが中国で発明されたことをご存知だろうか。
USBフラッシュメモリーが発明されるまでは、データの保存には3.5インチのフロッピーディスクが使われていた。しかし、容量が小さいうえに壊れやすい。 USBフラッシュメモリーの発明者で、深セン朗科公司の創業者の鄧国順さんも、この問題にいつも悩まされていた。出張するときに持って行ったフロッピーが不注意から壊れてファイルが読めなくなることがしばしばあった。
普通の人はフロッピーが壊れないように心を砕くが、鄧さんはそうしなかった。仲間2人と深セン市羅湖区に二間の家を借り、そこで世界初のUSBフラッシュメモリーを研究・開発してしまったのだ。そして十数カ国で特許を申請した。今、大多数の家庭用パソコンからは、フロッピードライバーがなくなり、USBフラッシュメモリーが完全にとって代わった。
3月20日、東京の京浜急行品川駅で、「上海ウィーク」と「上海万博」の写真展の開幕式が挙行された また、私たちが現在見ている映画用DVDは、東芝や松下など6社が核心技術の特許権を享有する特許製品であることはよく知られている。しかし、それより先に、テレビで映画を放映するときに使うディスクのDVDを開発したのは中国であることをご存知だろうか。
DVDが出現する6年前、中国安徽テレビ技術研究所の姜万モウ所長は米国で開かれた展覧会の会場の片隅で、ある小さな会社が、画像を圧縮する技術を実演しているのを見かけた。興味をそそられた姜所長は、これを利用することで、映画を一枚のCDディスクに圧縮することができると思いついたのである。ビデオやLDに比べて、CDディスクのコストは極めて低く、大いに儲かる可能性があった。
そこで、長年、研究・開発を続け、1993年にVCDプレーヤーがついに中国で誕生した。そしてたちまち全国に広がり、ビデオを淘汰した。姜所長が自ら開発した製品をテレビの展覧会で展示したとき、会場は大きな反響で沸いた。多くの日本の製造業者たちはそれを見て非常にいぶかしく思い、トリックかどうかを確かめるために、展示台の回りをぐるぐる歩き回り、スイッチを入れては切り、切っては入れた。
新時代のハイテク、とくにIT産業の発展は、中国に新たなチャンスをもたらした。それは中国が単なる廉価な製品を作る「世界の工場」であるだけでなく、さらに多くの新しい技術や発明を作り出す能力も備えていることを証明している。
日本化した中華料理
中国には、日本の中華料理に関するこんな笑い話がある。
年を取った中国人夫婦が息子に会いに日本へ行った。二人は、日本料理はおそらく口に合わないだろうと、一軒の中華料理店に入ってギョーザを注文した。中国では、ギョーザといえば、お湯でゆでる水ギョーザを指す。ところが皿に盛られて出されたギョーザは、油で揚げた、焦げて、サクサクしたものだった。
二人はうろたえた。そして店長に聞いた。「これは『鍋貼』(焼きギョーザ)じゃないか。お湯でゆでたギョーザはないのですか」。すると店長は丁寧に答えた。「ございます。ただトマトスープでゆでたものです」。
確かに、日本人がいつも食べている「中華料理」は、本場の中華料理とはかなり違い、「日本風の中華料理」と言っていいだろう。料理人たちは伝統的な中華料理を基礎に、砂糖を多く入れたり、ワサビなどの日本人の好む調味料を使ったりして、自分の想像力を大いに発揮し、さらに日本人の口に合う料理を作り出している。それによって中華料理の内容も、豊かになったのである。 「人民中国」
|