毎年の秋から来年の春まで、多くの渡り鳥は北から中国中部にある安徽省の昇金湖自然保護区に飛んできています。昇金湖自然保護区は、安徽省西南部にある東至県に位置し、面積が3万ヘクタールあまりで、中国国家クラスの自然保護区です。そこは渡り鳥の中国での主な生息地の一つとして知られています。
毎年、ここで越冬・繁殖する鳥の種類は170種類もいます。秋から春にかけては、北のシベリアやモンゴルから、春から秋にかけては南のオーストラリアからって来るそうです。昇金湖自然保護区には、中国最大のナベ鶴のコロニーが生息しています。その数は全世界のナベ鶴総数の5%を占めています。中国ではナベ鶴は国家一級保護動物に指定されています。ナベ鶴のほか、昇金湖はまた、丹頂鶴やシグニットなどの生息地でもあります。毎年冬から春にかけて、湖の上空はいつも飛ぶ鳥の群れに覆われているような、独特の風景を見せています。昇金湖保護区の渡し場で、30年間働いてきた船頭の張安才さんは、渡り鳥についてとても詳しいです。
「一番多い時は、幾千幾万の鳥が空を飛ぶのを見ました。すばらしいものでした!鳥が飛ぶときに、種類ごとに分かれて飛ぶんですよ!雁は雁で、白鳥は白鳥で、それぞれの群れを作っています。雁は飛ぶときに、「人」の字の形になったり、「一」の字になったりして飛びます。白鳥はそれと違って、一直線になっています。また、鳴き声も違うんですよ。マガモは、「カー、カー、カー」と、雁は、「ガー、ガー、ガー」と、ほんと面白いですね」
昇金湖の岸辺には、比較的高い斜面があって、現地の人に「洲」と呼ばれています。これらの「洲」は、バードウォーチングするのに最適の場所となっています。昇金湖自然保護区では鳥類の研究をしている尹莉さんは、バードウォーチングが大好きです。
「一番多い時は、湖でおよそ5万羽の鳥を観察したんですよ。最高の喜びでした!」
ところで、昇金湖自然保護区には広い草地と浅瀬があり、鳥の食べ物になる魚や海老、水草などが豊富です。また、湖のほとりに密生する葦は、鳥たちが風雨をしのぐ場所となっています。これらは越冬する鳥類に豊富な食べ物と良好な環境を提供しています。
毎年のバードウォーチングの季節になると、国内外から多くの研究者や観光客が訪れています。
安徽省の省都合肥から鉄道でおよそ3時間で安慶市に着きます。安慶市からフェリーで昇金湖に行きます。ただ、昇金湖ではまだ観光地として開発されていないので、宿泊の場所はありません。昇金湖が位置する東至県に泊まることができます。
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