「四川・パンダの故郷」クイズ(その三)
青城山ー都江堰
青城山は中国の宗教、道教の発祥の地の一つです。道教は中国本土の宗教で、紀元1世紀に形成されました。道教にはいくつかの流派がありますが、ここ青城山は天師道の創始者、張陵の総本山です。今、ここ青城山には百人以上の修行者がいます。
道教が創設された当初、信仰者は家で修行することができ、結婚したり、お酒を飲んだり、肉などを食べることもできました。日常生活の中で功徳(くどく)を積むことができると信じられたのです。しかし、今は必ず出家して弟子入りしなければなりません。また、酒や肉は禁止され、結婚ももちろんだめです。
青城山にある数十ヵ所の道観、つまり道教のお寺や大量の文化財はほとんど深い森の中にあります。これらの道観の中で、最もお参りが盛んなのは山頂付近にある上清宮です。その上清宮のご本尊は「太上老君」、つまり道教の教祖老子です。願いごとがあれば、ここで線香を焚くと叶うのだそうです。
青城山は前山と後山に分けられています。どちらも景色の美しいところですが、前山は文化財や古跡が多く、後山は神秘的で原始的な世界を感じさせるところです。また、後山にある古くて小さな町、泰安は旅路の憩いの場となっています。
泰安の町はとてもきれいで、道の両側にある清流が道や家のそばを流れています。石畳の小道の両側に住宅があり、お店もあります。町の建物はほとんど白い壁に青い瓦で、門には花模様が彫刻されています。ここの人々は純朴で人と人の関係が自然で落ち着いたところです。旅人がここに来て、どこかのお店に入って、お茶でも飲みながら景色を眺めたりすると、旅の疲れも飛んでいきそうな気がします。
都江堰水利施設は、成都の北西、60キロの都江堰市の西にあり、2000年前に戦国時代の李氷が地元の民衆を率いて作ったもので、今でも使われています。都江堰が他の堰と違うのは、川を分流させていることです。これによって、洪水による災害が減らせる一方、灌漑にも使えます。
都江堰で最も重要で、最も巧妙に作られているのは「魚嘴分流堤」です。つまり、川の真ん中に川水を分流させる大きな魚の口の形をした堤防を作りました。この分流堤防は川を内側と外側に分けて、内側の水は灌漑用に、外側の水は本流に流されます。
このようにすると洪水期は川水を分流して、灌漑用と本流を流れる部分に分けて処理できますが、渇水期になると、川水は外側に流れ、灌漑用の水がなくなる可能性があります。しかし、初めに工事を行った段階で、内側の河床を深く狭く掘って、外側の河床を少し高く、幅広く掘りました。このため、渇水期には、流れの主流はまず低いほうの内側に流れることになります。内側の水の量は全体の六割で、残りの四割は外側を流れるように工夫してあります。逆に川の水量が多い場合は、主流は河床の高さより川の幅に影響されます。幅の広いほうに流れるので、大部分の水は外側を流れることになります。このようにして、この2000年前に完成した水利施設は今でも見事に水流をコントロールすることができるのです。
こうしたことから、都江堰があるからこそ、四川にこれだけ多くの名所旧跡や風光明媚な場所が今日まで残っているとも言われています。
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