穏やかなある週末の午前、西の第四環状近くのあるマンション群に、懐かしい掛け声が響き渡りました。
「包丁砥ぎー、はさみ砥ぎーー」
この掛け声に外に出てみました。すると昔と変わらぬ姿の包丁砥ぎのおじさんがいたのです。道具を積みこんだ自転車で駆け巡り、昔は路地裏や村落を回っていましたが、今では高層ビルの間を行き来していると言います。砥ぎ代は包丁一挺3元、はさみ一挺2元(1元は約12円)。その便利さと手ごろな代金に、よく切れなくなった包丁とはさみを持ってくる人が目立ちました。いくら高層ビルに移ったからといっても、包丁やハサミのない暮らしは考えられませんからね。「半月に一回のペースで高層団地を回るんだよ」とおじさん。これで包丁砥ぎのおじさんが正式に復帰したようです。この新しく出来た社区(コミュニティ)にも、生活感が日一日と増してきたようです。(YAN)
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