習近平主席は10日、ボアオ・アジアフォーラムで基調講演を行い、対外開放をさらに拡大する4つの重要な措置を掲げました。この内容が国際社会から評価や支持を得ています。

　特筆すべきなのは、米国のトランプ大統領による「関税や自動車の輸入問題に関する習主席の丁重な言葉に深く感謝する」とのツイッター上のコメントです。トランプ大統領はまた、知的所有権と技術交流に関する見識にも謝意を示し、「我々はともに大きく前進する」と記しました。

　中国品に対して高額の輸入関税を課そうとしている中、トランプ大統領のこうした感謝のコメントはやや意外な感じを与えます。

　まず、世界の圧力に押されたのではないかと見られます。

　習主席のボアオでの講演に対して、西側諸国で反響が起こり、「習主席が発表した改革のさらなる拡大措置は、グローバル化を維持する中国の決意や誠意、そして世界に対する中国の責任を示すものだ」と評価しました。

　そして、国際世論を誤った方向に導く狙いが見えます。

　トランプ大統領は、関税や自動車の輸入、知的財産権などにおける中国の措置に感謝の意を示しました。これはすなわち、「中国が譲歩した」と思わせ、世論を自分に有利な方向へ導いて、両国の貿易摩擦で「うまみ」を稼ごうとするものです。

　さらに、米国国内を落ち着かせて政治的安定を保つ目的も見えます。

　米国が中国を相手に貿易摩擦を引き起こして以来、ウォールストリートはパニック状態に陥り、株式市場が乱高下しています。国会議員や業界・企業の代表、マスコミ、国民からの非難が鳴り止みません。米国市場を安定させること、11月の中間選挙に備えること、共和党の優位性を保つことが急務であるトランプ政権は、こうした状態を鎮める必要があります。

　今回の貿易摩擦は、米国が中国の発展をしめつけ、王座の位置を保とうとする重要な一策です。しかし中国は冷静さや慎重さを保ち、対応する実力を備えています。中国はこれからも改革や開放を推進し、このような貿易戦争を確実に勝ち抜くことができるでしょう。（殷、森）

筆者：　国際問題評論家　盛玉紅氏