習近平国家主席は5日午後、国内外の記者を対象とした記者会見を開き、BRICS第9回首脳会合及び新興市場国と発展途上国対話会議の状況について説明を行いました。習主席は「今から10年前、BRICS協力は世界情勢が大きく変動する中に興り、国際社会から大変注目を集めた。その後、金融危機や大きな情勢変化などの試練を経て、BRICS国家は新興市場国と発展途上国との団結協力、互恵共栄への新たな道すじを見出すことができた。各国の指導者は今会合を新たな出発点に据え、揺るがぬ信念で、引き続き努力を重ね、より緊密かつ幅広く全面的なパートナーシップを共に構築し、BRICS協力の第2の「黄金の10年」を切り開くことを決意した」と述べました。

　習主席は「今日の世界は本質的且つ入り組んだ変化を今まさに経験している。世界経済成長の見通しは好転しているが、グローバルな課題が相次いで現れてもいる。5カ国の首脳は今回の会合で、『BRICS諸国はいずれも重要な影響力を持つ国であり、重要な問題での意思疎通と協調を深め、より公正で合理的な国際秩序の構築を推進していくべきだ。また、建設的役割を果たすなかで国際関係の基本原則を守り、世界の公平と正義を維持していくべきだ。そして、様々なグローバルな課題には協力して対応し、開放的、包摂的且つ全体に利益をもたらし、平等で共栄を目指した経済のグローバル化を推進し、グローバル経済ガバナンスの改革を加速させ、新興市場国と発展途上国それぞれの代表性と発言権を高め、各国の発展のために良好な外部環境を作り出すべきだ』との見解で一致した」と述べました。

　習主席は「BRICS諸国の首脳は、実務協力はBRICS協力の土台であり、根が深まれば葉は茂るとの見解で一致した。BRICS諸国は、互恵共栄の原則に基づき、マクロコントロールを強化し、発展戦略のリンクを図りながら、経済と貿易、財政と金融、工業、持続可能な発展など各分野での協力を全方位的に推進し、それぞれが連動した発展モデルを形成させていく。今年、BRICS実務協力は新たな進展をとげ、そのクオリティーも向上している。中でも、貿易利便性の向上、サービス貿易、通貨取引、自国通貨での決済、政府と社会資本の分野での協力でガイドマップを策定したほか、新開発銀行 （BRICS銀行）アフリカ地域センターを設立し、BRICS諸国革新協力アクションプランを策定した。この一年ほどの努力により、BRICS諸国は、貿易投資の相互市場化・通貨金融の相互流通・インフラの相互連結などの目標に向けて新たな一歩を踏み出すことができている」と述べました。

　習主席は「BRICS諸国の首脳は、5か国はともに悠久の歴史や素晴らしい文化を有しており、これらを守るべき貴重な財産だと考えている。今年、5か国は人材文化面での交流と協力を幅広く展開し、スポーツ大会、映画祭、文化祭、伝統医薬ハイレベル会議などを開催、各国の国民から広く歓迎されている。我々は議会、政党、青年、シンクタンク、地方間の協力を積極展開し、様々な分野の人々がBRICS協力に関与するためのプラットフォームを作り上げている。我々は人材文化面での交流と協力の頻繁化と制度化を支持し、5か国の国民間における相互理解と友好関係を拡大し、パートナーシップの理念が国民の心に根を張ることができるよう努めて行く」と述べました。

　習主席は、「BRICSメカニズムの構築は今年新たな進展をみせている。BRICS諸国は、初めて外相公式会合制度及び国連常住大使による定期的協議制度を確立したほか、Eポート・モデル・ネットワークとECワークグループ、博物館アライアンス、美術館アライアンス、図書館アライアンスなどの協力プラットフォームの設立を後押しした。これら新制度は、今後、政治、経済、文化などの分野におけるBRICS5カ国の協力拡大に力強いバックボーンを提供できるだろう」と述べました。

　習主席は、「BRICS5か国の首脳は、政治安全面における協力深化及び戦略信頼の増進が、5か国の共通利益と国際社会の期待に合致するものであると考えている。今年に入って以来、我々は、国際情勢、グローバルガバナンス、国際問題と地域問題、国家安全と発展などの問題について深く意見交換を行い、重要なコンセンサスを形成した。また、我々は安全保障に関するハイレベル代表会議及び初の外相公式会合を成功裏に開催し、BRICSの政治安全協力に新たなエネルギーを注ぎ込むことができた。ほかにも、ニューヨークやジュネーブ、ウィーンに常駐代表事務所を設置、定期的な対話制度を確立し、ともに関心を寄せる重要な問題についての立場について調整をはかっている。また、テロ取り締まり、サイバーセキュリティ、PKO、中東問題などの分野における協力も順調に進められている。こうしたことはBRICSの影響力を高めるものとなっている。我々は、政治安全協力の良好なトレンドの継続と、その役割が果たされることを支持し、世界の平和と安定維持のためにより大きな貢献をしたいと考えている」と語りました。

　習主席は「中国政府は新興市場国と発展途上国の対話会議を開き、南南協力と世界の発展と協力拡大に向けた強いシグナルを発した。対話会議に出席した首脳らは、新興市場国と発展途上国の発展トレンドは良好であり、持続可能な開発のための2030アジェンダの実施とグローバル経済ガバナンスの完備に向け、より大きな役割を果たすこと、南南協力を深化させること、『BRICS＋』モデルを確立すること、幅広いパートナー関係を築き、開放的で多元的なパートナーネットワークを構築し、共に手を携えてイノベーション、バランス、グリーン、オープン、シェア、そして持続可能な発展の道を歩み、世界経済の成長促進や各国の共同発展により多くの前向きなエネルギーを注ぐべきであることなどで意見の一致を見た」と述べました。

　習主席は最後に、「BRICS5ヵ国首脳は、BRICSが二回目の10年に歩みを進める今、BRICSメカニズムの構築が時代に見合った形で進められ、各分野での協力を一層強化し確実なものとするための手堅い保障とならねばらぬと感じている。来年、南アフリカがBRICSの輪番議長国を務め、ヨハネスブルグで第10回会合を開くことになったが、私たちはその会合が必ずや豊かな成果を収められると確信している」と述べ、南アフリカを全力で支援し、BRICS協力の更なる発展を推進していくとする中国政府の姿勢を示しました。