1時間目　世界重要農業文化遺産めぐり、雲南省のハニ族稲作棚田システム

　雲南省は中国南西部にある山の多い省で、生物多様性を持つ地域です。少数民族のハニ族の大部分は、雲南省北部を流れる紅河上流と南部を流れる瀾滄江（メコン川上流）の間の山岳地帯に住んでいます。ハニ族は、昔から棚田で農業を行ってきました。

　2010年、雲南省紅河ハニ族イ族自治州のハニ族稲作棚田システムは、国連食糧農業機関から世界重要農業文化遺産に指定されました。また、2013年、ユネスコによって世界文化遺産リストにも登録されました。中国では、この2つの国際的な称号をもつ場所は紅河ハニ族イ族自治州しかありません。

　ハニ族は棚田で稲作を営み、暮らしています。衣食住、生産労働、祭祀、宗教、信仰、哲学や思想など、生活のあらゆる方面に棚田文化が刻み込まれています。棚田の稲作文化は、ハニ族文化の源と言えます。

　雲南省紅河ハニ族イ族自治州の棚田は、規模が大きく、紅河南岸の紅河、元陽、緑春、金平などのいくつかの県に及びます。

　ハニ族のことわざには次のようなものがあります。「森は水の源、水は棚田の源、棚田はハニ族の源」、ハニ族が森と土地を管理するために用いる複雑な仕組みの鍵は、おそらく地域に根差したこの知恵にあるかもしれません。

　ハニ族の人々は、米を育てるために、なだらかな斜面を選び、哀牢山中の水源から水を引き、広大な棚田を作り上げました。深い谷間を流れる紅河から水を引くのは非常に困難であったため、その代わりに数世紀かけて作物を収穫するための複雑な灌漑システムを作り上げ、泉水や地面からの水、小川の水などを棚田へと引き込んだのです。

　伝統的な農法が維持されているほか、雲南省紅河ハニ族イ族自治州の棚田の景色はとても美しいです。棚田と一体化した山や雲海、日の出と夕暮れ、さらに少数民族の山村風景などには独自の美しさがあり、「大地の芸術」と呼ばれています。海外からの観光客をはじめ、今は国内からも訪れる人が後を絶ちません。みなさん、時間を見つけて是非、雲南省の紅河ハニ族イ族自治州に訪れてみてください。

　2時間目　雲南省紅河ハニ族イ族自治州の観光スポットとグルメ

　紅河ハニ族イ族自治州は、雲南省の東南部にあり、南はベトナムと接しています。面積は約3.3平方キロ、人口は約456万人（2012年）。そのうち、歴史上は、この地域にいる少数民族が10あり、合計で241万人います。アクセス方法は、北京または上海から飛行機で雲南省の省都・昆明に行き（いずれも約3時間半）、そこから列車に乗り換えて、4時間ほどで紅河ハニ族イ族自治州の州都の蒙自県に着きます。

　紅河ハニ族イ族自治州には多くの観光地があります。この番組では、建水文廟、瀘西阿廬国家ジオパーク（カルスト地形と鍾乳洞）、滇越鉄道の駅を紹介します。また、グルメとしては、雲南省を代表する料理の蒙自過橋米線、特産の石屏の豆腐、元陽南沙の燻製牛肉を紹介します。橋を渡る米線っていったいどんな食べ物か、ぜひ、番組をお聞き逃しなく！（まとめ：任春生）