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中国では、木偶(人形)を操って各種の物語を演じる劇のことを古代は「傀儡戯」と呼んでいました。木偶そのものは、殷代の奴隷殉葬の習慣・陶俑にまで遡ることができ、春秋戦国時代には、死者のあの世の娯楽のために大量の木俑が埋葬されていたことが確認されています。文献によると、漢の時代、戯劇的要素を含む木偶戯がすでに行なわれていたとする説もありますが、北斉時代以降に形成され、唐代・宋代に大いに発展したと考えるのが一般的です。現在、木偶の大きさや操る方法の違いから「提線木偶戯」(糸操り人形劇)、「布袋木偶戯」(指遣い人形劇)、「杖頭木偶戯」(棒遣い人形劇)、「鉄線木偶戯」の4種類に分けられます。
福建省は、糸操り人形劇と指遣い人形劇が比較的に盛んな地域です。特に泉州はこの2種類の人形劇の発祥の地とされています。この地区の人形作りの工芸も傀儡を中心としています。
2012年12月、福建省の糸操り人形劇と指遣い人形劇を含む人形劇は、国連の「無形文化遺産の保護に関する条約」に基づく「中国民俗民間文化保護プロジェクト」の優秀実践リストに登録されました。優秀実践リストとは、世界無形文化遺産の3つの種類の一つです。
では、福建省の主な人形劇の2種類、糸操り人形劇と指遣い人形劇をご紹介します。まずは糸操り人形劇ですが、糸操り人形は通常、関節を持った人形の各部分に糸をつけ、上から吊り下げて操作します。操者は吊り手(操作器)を操作しつつ、その吊り手に取り付けた何本もの糸さばきによって人形を動かします。糸の数は1本のものから20本を超えるものまで様々です。吊り手は「手板」または「コントローラー」ともいわれ、トンボ型水平式や垂直型階層式のものなど多種多様にあります。泉州の糸操り人形劇は、通常、16~30本の糸で人形を操ります。演目は700くらいあると言われています。
指遣い人形劇は中国では、布袋劇(ほていげき)とも呼ばれています。その起源は17世紀の福建省泉州に遡ることができ、後に福建省の泉州、漳州、広東の潮州、台湾等で一種の人形劇として発展し、現代に伝わっています。人形の頭部や手足部は木製で、それ以外の身体部は布製の衣服から構成されていて、演じる時は手を人形衣装の中に入れて操作します。「布で作られた袋状の人形」を用いたことから布袋劇の名称が生まれました。
近年、伝統的な人形劇はその継承と発展に陰りを見せています。2012年、福建省の人形劇が世界無形文化遺産の優秀実践リストに登録されたことをきっかけに、福建省は、人形劇の宣伝・普及、継承者の育成に取り組んでいます。この中で、泉州、漳州の木偶劇団は大きな役割を果たしています。
もし人形劇に興味があれば、福建省を訪れた時には、是非、泉州と漳州の木偶劇団に足を運んで、人形劇を楽しんでください。
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