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一時間目 もう一つの紅白、中国現代文学の散歩道~李敬澤「趙氏孤児」(1)

2017-01-10 19:29:37     cri    

担当:王小燕、斉鵬


 今日の北京は澄み渡るような青空が広がっています。放送局近くの大通りには、この時期限定の旧正月を祝うための花火の屋台が見られるようになりました。皆さんはお正月休みをいかがお過ごしでしたか。

 「スペシャル・バスケット」は新年特別番組「紅白歌比べ」の収録現場でのインタビューをお送りします。今年の「CRI紅白歌比べ」は40周年記念企画として、「中日歌唱コンテスト」を開催しました。参加した選手や審査員、観客たちに感想を聞きました。

 今週は2017年最初の火曜ハイウェイでもあります。年の始まりにふさわしく、今回からの新企画をご用意しました。中国の現代作家の文学作品を朗読で紹介する新コーナー、タイトルは「中国現代文学の散歩道」。中国文学の翻訳誌『新しい中国文学  灯火』雑誌社の後援により実現した企画です。

 去年の「スペシャル・バスケット」でもご紹介した『灯火』は、中国で最も権威のある文学雑誌『人民文学』の日本語版として、2015年12月に創刊。「伝統と文化」をテーマにした創刊号に続けて、これまで全3冊が刊行されています。

 初回からシリーズでご紹介するのは、去年3月に刊行した「特別版」に掲載された作品、中国人作家で文芸評論家の李敬澤(り・けいたく)の小説「趙氏孤児」、翻訳は水野衛子(みずの・えいこ)です。今回は第1部「王妃の陳情」を王小燕と斉鵬の朗読でお届けいたします。

 【背景】
 ★李敬澤について
 1964年天津生まれ。 北京大学卒。中国作家協会副主席、中国で最も権威ある文芸雑誌『人民文学』の元編集長。著名な文芸評論家で、中国の作家たちの尊敬を集めるとともに畏怖される存在でもあります。
 幅広いスタイルの作風の作家としての顔もあり、『検証千夜一夜――21世紀初の文学生活』、『文学のために申し開きをする』、『反遊記』、『小春秋』、『理想的な読者へ』などの著書があります。

 ★「趙氏孤児」について
 司馬遷の『史記』にも出てくる史実をもとに、元代の劇作家・紀君祥が元曲として創作した中国の有名な悲劇の一つで、18世紀にはフランスの作家ヴォルテールによって翻案され、ヨーロッパで舞台化された最も古い中国の芝居でもあります。
 中国でも繰り返し京劇などの伝統演劇や話劇の舞台、テレビドラマに取り上げられ演じられてきました。近年では、陳凱歌監督が映画化、日本語訳『運命の子』として、2011年に日本でも公開されています。
 これら良く知られた「趙氏孤児」は、霊公殺害の冤罪で趙家が将軍・屠岸賈(とがんこ)によって、一家全滅の罪に問われた際、趙家に恩のある公孫杵臼(こうそんしょきゅう)や程嬰(ていえい)らによって助け出され趙盾(ちょうとん)が一人生き延び、やがてその孫の趙武が長じて一家のあだ討ちをするという復讐の物語です。
 李敬澤のこの小説はその有名なストーリーのエピローグ、またはスピンオフともいえる内容になっています。霊公と趙盾との確執(かくしつ)に、中国の現代にも通じる諸問題を見出すという、単なる歴史小説を超えた語り口になっています。

 ★第1部「王妃の陳情」
 紀元前621年、晋の襄公(じょうこう)が崩御した。王位継承者である彼の息子はまだ幼い乳飲み子であった。時の宰相であった趙盾は「子どもは晋国の王位に就くにふさわしくない。晋国は年かさの成熟した君主を立てるべきだ」と、別の候補を考える。事は順調に進んでいるとばかり思っているところで、趙盾は王妃の陳情に出くわす。
 一体、晋の霊公(れいこう)となるのは誰なのか。

 ★関連の言葉
 【晋国】紀元前11世紀 - 紀元前376年、現在の山西省に西周から春秋時代にわたって存在した国。始めは「唐」と呼ばれていたが、後に「晋」と改められた。
 【労働改造所】労働改造とは「(犯罪者などを)労働を通じて改造(矯正の意)する」ことの略語。中国で1950年代から実施されていた矯正処遇政策だが、2013年に廃止された。「労働改造所」は労働改造機関の一つ。

 ★登場人物
 趙盾(ちょうとん):晋の政治家。趙衰の長男。晋で長く政権を執り、趙氏の存在を一躍大きくした。
 先蔑(せんべつ):晋の武将。
 士会(しかい):晋の武将。
 屠岸賈(とがんこ): 晋の国の臣であり、敵対する晋の一大勢力「趙」氏を滅ぼす手前まで追い込みながらも、密かに育てられた趙氏の生き残り「趙武」の反撃を受けて滅んだ。
 趙武(ちょうぶ):晋の政治家。父の代に一度は滅亡した趙氏を再興させ、晋と楚の和睦を成し遂げる大功をあげた。

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