一週間前、ニューヨークでの出張で古い友人の蔡国強先生を訪れました。蔡さんによりますと、彼が昔、日本留学していたときは福島県に住んでいたそうです。ですから、東日本大震災のとき、彼は自分の作品を売ってそのお金を福島に寄付しました。すると、いわき市の市長から返信をもらって、この義捐金は現地で美術館を作ることにするということです。この美術館で1万株の桜を植える計画も立てられました。人々が飛行機に乗っていわき市の上空を飛んだときには、これらの桜が見えるということです。
日本の外務省が行った国民感情についての世論調査では、互いの国への好感度が低いということがわかりました。しかし、大部分の人は互いの国を訪れたことはなく、メディアの情報を鵜呑みにしている場合が多いようです。メディアが流すニュースにしても、マイナス要素のニュースへの興味がプラスニュースへの興味を上回っており、視聴率の圧力の下に、そうした報道が多くなりがちです。偏見を含んだマイナスな印象のニュースを放送することが、視聴率にもつながる仕組みができてしまっているということです。責任感のあるメディアは、本来こうした群集心理に影響を受けず、客観的な内容のある情報を発信すべきようにと思います。
私は仕事柄様々な人にお目にかかり、インタビューをしていますが、例えば2014年の北京APECを控えた頃、韓国でパク・クネ大統領にお話しを聞いた時、「青瓦台で一番きれいなところは」という質問をしてみたことがあります。そこで彼女が教えてくれたのは、「あまり知られていませんが、緑地園(グリーンガーデン)というところです。あそこは、昔父が大統領だった頃から、あまり変わっていないんです」。私はそこに外交などのニュースでは見られない彼女の生身の姿を見ました。ニュースでは偏りがちな印象ですが、生身の人の物語は一番感動的です。そのほかにも、福田康夫さん、中曽根康弘さん、建築家の安藤忠雄さんや企業家の稲盛和夫さんなどにもお目にかかりましたが、同じような感触を得ています。
私の子供が宮崎駿を好きで、宮崎監督の作品、「ハウルの動く城」や「千と千尋の神隠し」など、たくさんの作品を鑑賞しました。子供の世代もそうですが、最近の世代の若者は、アニメ世代が増えており、歴史とか難しい話からは離れていると思います。こういった世代が育ってきた中日韓三国は、美的感覚で共通している部分があると思います。ですから、アニメやロボットに関する展覧会を開いたら、たくさんのお客さんが来ると思います。
また、ファッション・建築・演劇などで、三国の言語は共通している部分があると思います。建築家の隈研吾さんや安藤忠雄さんは、中国でも有名です。
さらに、女性の交流を増やしていくべきだと思います。女性の生産力はあまり重視されていない気がします。その生産力を解放すれば、世界のGDPにも貢献できる規模のものになると思うのです。芸術界にしても、メディア界にしても、政治の世界でも、女性の活躍には目覚しいものがあります。ですので、私は是非中日韓の女性の交流を促進していけたらと考えています。
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |