中国の台頭というような力の変化によって、平和な秩序の構築に回帰できるかどうかについては、懐疑的態度を抱いている人が大勢います。中米両国のパワーウォーズについて、多くの専門家は、「一つの山に二匹の虎の存在は許されない」という中国の言葉を引用しています。つまり、台頭している中国に対して、アメリカの戦略に新しい冷戦の概念が生まれることを懸念しているのです。
このような情況の下で、中日韓三国は、安定的な新しい地政学的秩序を構築できるのか、ということについて、疑問を持っている人がどんどん現れてきました。地域外の国、例えば、アメリカがもし、建設的な参加者としてバランスをとる役割を発揮できれば、北東アジアで安定的な協力関係を構築することが可能になるのではないかと思います。北東アジアでの新しい冷戦を避けるため、中米関係が安定した知見に富む発展を実現させるためには、北東アジアの三国は多くの知見を結集しなければなりません。
現在、朝鮮の核実験とミサイル発射により、北東アジアは安全保障の危機に直面しております。テロリズムも蔓延し、核の脅威も増しています。このような現実の中、朝鮮が実施した4回目の核実験に対して、北東アジアおよび国連のすべての加盟国が一致団結し、共に対応していくことを求めたいと考えております。核の脅威に対する中日韓三国の共同対応は、北東アジアの新たな地政学秩序を構築する過程における試金石と言えます。現在、中国とアメリカが、朝鮮の核問題を解決するために協力し、歩調を揃えるならば、北東アジアで相互信頼を構築するためのターニングポイントとなり、北東アジアの安定に決定的な影響を及ぼしていくでしょう。
ご列席の皆様、いわゆる「歴史の終わり」という世界史のトレンドは、我々の北東アジアで共栄を実現させるための秩序の構築につながりませんでした。これは非常に悲しい現実です。それには様々な原因があります。しかし、最も重要なことは、ヨーロッパでは、みんなが合意したルールと原則の下で、協力的な地域メカニズムが確立されたことです。北東アジアではそうしたメカニズムの欠如により、この目標が実現されなかったのです。
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |