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二時間目 輝く女性の生き方~北京在住写真家・佐渡多真子さんに聞く

2016-03-08 20:51:38     cri    


 聞き手:王小燕

 3月8日の国際女性デーにちなんだ特別企画です。ゲストは北京在住17年の写真家・佐渡多真子さんです。

 大物映画監督や俳優の人物写真から、北京動物園のパンダに新疆ウィグル自治区のロバ、真夏の暑さにうなされ冷たいペットボトルを枕にお昼寝をしている胡同の子犬、そして、北京のおしゃれな店の紹介や、各地の人々の笑顔…

 佐渡さんの撮った写真には温もりがあり、豊富多彩な中国があります。

 父親が生まれたばかりの自分の写真をとるために買ってきたコンパクトカメラ。これが、佐渡さんが手にした最初のカメラでした。以後、カメラへの興味を抑えることができなくなり、小学校4年生の時に、一眼レフカメラが欲しくて、お小遣いを一生懸命貯めました。ようやく4万9千円を貯め、これでカメラが買えると思って店に行ってみると・・・。それは、カメラの本体だけの料金でした。

 父親は愛娘のカメラへの情熱を目にし、「では、レンズをプレゼントするね」といってくれました。そして、これが佐渡さんにとって初めての自分の一丸レフカメラになりました。

 その後、高校までずっと写真部に所属し、写真を撮り続けてきた佐渡さんですが、いざ大学進学や就職となると、両親からは「普通の大学に入り、普通の会社に就職する」ことを勧められました。

ひとまずは親の言葉に従って、大学卒業後にデザイン会社に入社。

 「小さい会社でしたが、女性に対して優しく、待遇も良かった。でも、20年後の自分の姿を目の前の先輩に重ねてみたら、どうもそれは違うということに気づきました」

 余暇には様々な教室に通ってみました。脚本を書いたり、翻訳学校に入ったりして、色々と力を伸ばしてみたくチャレンジしてみました。努力した分、完成したものはそれなりに評価もされました。

 しかし、就職して3年目に決意したのです。

「世の中に楽な仕事はない。どうせ何をやっても大変なら、自分の好きなことをしたい。私の本当にやりたい仕事はやっぱり写真だ」

 こうして、会社を辞めて、自分を探す道の第一歩を踏み出しました。

 カメラマンの仕事は助手からスタートし、その後、独立。仕事はどんどん増え、16カ国を周りました。忙しく過ごす中、1993年に偶然香港経由で中国大陸を訪れるチャンスに恵まれました。

 「16カ国のうち、中国以外はどこもイメージと違わなかったのに、中国だけが大きく違っていた。なぜなのか、知りたい」

 謎の答を探すための短期留学後、1年の本格的な留学に踏み切りました。この留学が終わった後、いったん東京に戻って仕事をしましたが、1999年、ついに拠点を北京に移し、中国を題材にする写真を撮るカメラマンになるという新しい道を歩み始めました。

 北京動物園で双子パンダを撮影した写真作品集・『幸福(シンフー)?』(集英社)は、北京生活で実った最初の果実でした。

 この作品集はパンダの家族を半年間観察し、撮りつづけてきた中で得た一番の収穫でした。パンダの家族の絆や子パンダの成長、そしてその死を通して、人間が生きていく上で、一番大切なものは何かを考えさせられたと佐渡さんは振り返ります。

 当時、北京の人々の生活は今よりずっとゆったりとしていて、「何のためにこんなに忙しくしているのか分からない」東京で暮らすよりも、幸せに通じる道があると思い、北京に拠点を移したと佐渡さんは言います。

 ところで、2014年年末、佐渡さんは連載コラム「読売新聞」のリレーエッセーで、「生き様映す 顔のしわ」というタイトルのエッセーを書きました。その中でカメラマンにとって、人間を撮る時に生き様を映し出す顔のしわに多くのメッセージが読み取れると書き、そして、自分の結婚についてこう綴りました。

 「夏にはほとんどしゃべらない静かな日本人男性と出会った。社交的とは言えない人だったが、その彼が微笑む時に出来る深めのしわを見た時に、苦労の中で思いやりと優しさを学んだ人のしわだと感じた。私はその人となら一緒に暮らしていきたいと思い、昨年末に結婚した。自分の結婚相手をしわで選ぶなんて、もし、日本で暮らしていたなら考えられなかったことだ。中国で暮らし、様々な経験をした人々のしわに触れ、私の価値観は変化し、そして、しわでたどった価値観は、迷わず伴侶を選べる所に、やっとたどり着けたのだと思う」

 今回は自分がライフワークとしてやりたい仕事を通して、人生の幸せを探し続けてきている女性写真家の物語です。自分らしく、ワンダフルな人生を送りたいと日々奮闘している人に特にお勧めです。

 【プロフィール】

 佐渡多真子(さど・たまこ)さん

 北京在住フォトグラファー。中央大学卒業後、(株)日本カラーデザイン研究所を経て広告写真家・中村彰三氏に師事。

 1990年、フリーカメラマンとして独立。

 1995年~97年、北京大学留学。

 1999年~、北京に拠点を移し、中国関連の写真を国内外のメディアに発表している。

 北京中芸映像学校・顧問 『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!双子のパンダ(日本版)(韓国版) (中国版)』(ポプラ社、)、『パンダフルワールド』(アスペクト)、『子パンダようちえん』(青菁社)、『こぱんだ シールの ココロ』(講談社)、『歳時記・中国雑貨』(木楽舎 原口純子著)など写真作品集多数。

 NHKラジオ中国語会話「レベルアップ中国語」テキスト表紙、人民中国・表紙&「美しい中国」、読売新聞・国際版 リレーエッセー、freasia 「Blog from the world-Beijing」http://freesiaweb.com/、北京スケッチブックなどに写真およびエッセーを連載中。

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