ゆく年を送り、新しい年を迎える。今晩は年末特別番組「ゆく年、来る年」でお楽しみいただきます。王小燕、白昊、高橋恵子の3人がご案内します。

　まずは、過ぎ去ろうとする2015年の中国社会を、「人民日報」社が29日に発表した「10大ニュース」で振り返ります。その後、インターネットと共生する若者、北京で暮らす外国人、中日の民間交流の現場と3人のアナがそれぞれの立場で感じたことにスポットをあててお届けします。

　2015年、中国から日本への観光客数は前の年に比べ倍増し、史上最高の延べ500万人を超える見込みです。また、中国への観光客の受け入れ業務を担当している北京の旅行関係者は、日本からの観光客も対前年比25％の伸びが見られ、双方共に明るい兆しが見えるようになったと言っています。

　相互の国を行き来する人の中には、普通の観光だけでなく、古くから両国を繋いでいる文化の絆に惹かれている人もいます。

　茶道を通した中国との交流を重視する茶道裏千家千玄室大宗匠（92歳）、古い時代の桃花塢（とうかう）木版年画を探して日本に渡った蘇州版画院の作家で、研究者の杜洋さん（32歳）夫妻がその方々です。この2人にそれぞれお話を伺いました。

　最後は中国の女性詩人・シャオシャオの新年のメッセージで結びます。シャオシャオは2015年の夏、日本の詩人・水田宗子さん（78歳）と出会い、水田さんが、子どもの時に疎開したことを書いた詩『福島』を読んで、強いインパクトを受けたと話し、このようなメッセージを日本の皆さんに寄せてくれました。

　「水田さんの詩を読んで、戦争は仕掛けた国にせよ、被害を受けた国にせよ、結局、被害はすべて国民に降りかかるもので、人類の災難なのだと思った。新しい年に、世界中の人々が戦争に対する狭い理解と記憶を乗り越え、より大きなスケールでの和解に達し、人類の求めるべく路により明るい方向をつけるべきではないかと切に願っている」

　和解あり、平和と発展のある中日関係。これは、新年を迎えるにあたり、中日関係に対して、私たちの心からの願いでもあります。

　皆さん、今年も１年、どうもありがとうございました。良いお正月を！

　■「2015年中国国内十大ニュース」（人民日報社）

　１） 人民元建て中国のA株市場が春から夏にかけて大きく変動し、政府が市場安定化に向け様々な措置を導入しました。

　２） 北京は2022年冬のオリンピックの招致に成功、世界初の夏と冬のオリンピックを開催する都市になります。なお、2022年の冬のオリンピックは河北省張家口市と共同開催です。

　３） 8月12日、天津港の倉庫で173人の犠牲者をだした重大な爆発事故が発生。このほか、6月の長江旅客船の転覆事故では442人が死亡、そして年末の深せんの土砂崩落事故など、安全危機管理にかかわる事故が相次ぎました。

　４） 9月3日、中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利70周年の記念大会が天安門広場で行われ、世界65の国や国際機構の来賓を前に、盛大な閲兵式が行われました。

　５） 10月5日、85歳の中国中医科学院研究員・屠呦呦（トゥ・ユーユー）氏が日本の大村智（おおむら・さとし）氏、アイルランドのウィリアム・キャンベル氏と共に2015年「ノーベル生理学・医学賞」を受賞。屠氏とその研究チームが研究開発したマラリアの治療薬「アーテミシニン」が世界の数億人に恩恵を与えたことが受賞の理由です。

　６） 10月18日、中国共産党中央は党員向けに汚職防止、規律順守を強化する基準と条例を発表し、これからも揺るぎなく腐敗を取り締まっていく決意を表明しました。

　７）2020年までに「いくらかゆとりのある社会」の全面実現という目標が盛り込まれた「国民経済と社会発展に関する第13次五か年計画」が10月末に採択されました。イノベーション、協調、グリーン、オープン、共有化などが発展のコンセプトになっています。

　８）11月7日、中国共産党総書記で、国家主席の習近平氏と台湾の指導者馬英九氏がシンガポールで会談し、大陸と台湾の関係の歴史的な１ページとなりました。

　９）11月末、中央軍事委員会改革活動会議が北京で開かれ、兵力30万人の削減などを含めた国防と軍隊に対する改革が実施段階に入りました。

　10）中国で約30年続いてきた「一人っ子政策」が緩和され、一組の夫婦は2人まで子どもを持てる新しい政策が2016年元日から正式に実施されます。