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重慶市の東南部に位置する武隆県。数億年をかけて、この地域に分布する炭酸塩岩や砂頁岩などさまざまな岩石によって形成された地形は、自然の力によって、多様なカルストの地形奇観を形成してきました。
武隆県のカルスト地形は、「最高の自然現象、自然の美と美学的価値を備えた重要性」「地球変遷の歴史、地質及び地形の特徴、変遷過程の反映」という基準を満たしているため、2007年、「中国南方カルスト地形」の重要な一部として、世界自然遺産リストに登録されました。
武隆県は、重慶市から東南部へ約200キロ離れた烏江のほとりの峡谷地帯にあります。遥か昔、長江三峡地域の地殻は大規模に隆起し、鍾乳洞、橋のような洞窟、水によって浸食されてできた竪穴の3種類の地形を形成しました。ここには地理的特徴の異なる芙蓉洞、天生三橋、後坪天坑群があります。
芙蓉洞は武隆カルスト洞穴を代表する地形です。約120万年前に現れ、白雲岩の中で育まれていったといいます。全長2500メートル、洞内の天井の高さは8~25メートル程度、一番高いところで48.3メートルの鍾乳洞です。鍾乳石の成分は炭酸塩岩と硫酸塩岩で、その形は筍、柱、幕、幔、滝、旗、帯、盾、葡萄など70以上あります。
洞内30数ヵ所のスポットには、世界でも稀少な洞穴景観に数えられるのも少なくありません。たとえば、幅15.76メートル、高さ21.04メートルの巨大な石の滝、面積32平米メートル、水深0.8メートルの現在成長中の珊瑚の形の鍾乳石、同じく成長中の花の形の鍾乳石などです。
国内外20数ヵ国の科学者が10数年をかけて探険、調査を進めた結果、芙蓉洞は観光や科学的な価値を持つ大型洞穴だけではなく、洞を中心とする周辺に大量の立て坑や平坦な洞穴からなる膨大な洞穴群、すなわち芙蓉洞洞穴群の存在も確認されました。このため、芙蓉洞はアメリカの「マンモス洞窟」、フランスの「クラムーズ洞窟」とともに、世界三大洞穴と呼ばれています。
天生三橋のカルスト地形は、まれに見る地質景観です。天竜橋、青竜橋、黒竜橋という3つの自然の石アーチ型の橋は、世界最大の自然の橋の群となっています。
洋水河大峡谷に跨るこの3つの天生橋には、それぞれ特徴があります。天竜橋は天生一橋とも呼ばれ、高さ200メートル、長さ300メートルの橋の下に2つの空洞のある天然の「ダブルアーチ橋」で、遠くから見ると、竜の両眼のようにも見えます。
天竜橋の近くの鍾乳洞から流れ出す伏流水が、天竜天坑の底を流れ、天生二橋と呼ばれる青竜橋にまっすぐに向かっていきます。青竜橋は3つの橋のうち、垂直の高低差が最大で、高さ350メート。幅は150メートル、長さ400メートルです。近づいて仰ぎ見ると、橋本体がまるで青空にむかって昇る青い竜のように見えます。
武隆県中心部から東北へ約108キロ離れた後坪郷の原生林と竹林の中で、5つの天坑からなる総面積15万平米メートルの天坑群がみつかりました。後坪天坑群の中でもっとも代表的な侵食型天坑は菁口天坑です。天坑の口は楕円形で、東西の長さ250メートル、南北の幅220メートル、深さ295.3メートルで、周りはすべて切り立った崖であり、底に通じる道はありません。未開発の原始的な状態であるため、天坑に入る際には、現地の状況に詳しい人の案内で、天坑の底とつながる二王洞という鍾乳洞を通って中に入ります。
原始の状態のままの鍾乳洞の中を歩くのは簡単なことではなく、危険を伴います。深さの分からない峡谷がすぐ足下にあったり、岩石の大きな裂け目が頭上に見えたりします。背筋を伸ばして歩ける場所もあれば、腹ばいでなければ進めないところもあります…
皆さん、重慶市を訪れたら、是非、武隆県の中国南方カルスト地形にお越しください。
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