一時間目 世界遺産めぐり、河南省登封市「天地之中」②
中岳廟
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一時間目は、世界遺産に登録された河南省登封市の「天地之中」古代建築群の代表、中岳廟をご紹介します。
中岳廟
中国の伝統的な宇宙観では、中国は天地の中央に位置する国で、天地の中心は中原にあるというものでした。したがって、中原には早くから王朝の都が立てられ、文化の粋が集まる中心でした。
河南省登封市の嵩山にある「天地之中」古代建築群は、漢、魏、唐、宋、元、明、清の時代を経た2000年に渡る歴史建築を含みます。周公測影台、登封観星台、嵩岳寺塔、太室闕、中岳廟、少室闕、啓母闕、嵩陽書院、会善寺、少林寺建築群の常住院、塔林、初祖庵など、8ヵ所、合わせて11の優秀な歴史建築のことです。中国で最も多くの王朝に跨り、建築種類が最多、最も豊かな文化を内包する古代建築群の1つで、古代中国人の独特な宇宙観と審美観を映し出しています。
今日の番組では、古代建築群の中の代表の一つ中岳廟をご紹介します。中岳廟の前身は、秦の時代(紀元前221~前206年)に太室山神を祀る場所として造られた太室祠です。歴代の皇帝が河南省登封の北にある嵩山に登り、封禅(天子が天を祭る儀式)を行ったり、中岳の神を拝んだりしたので、廟の規模はますます大きくなりました。清の乾隆時代(1736~1795年)、北京の故宮の建物の配置と建造の方法に基づいて、中岳廟は初めての大規模な全面改修を行いました。この改修によって中岳廟は金色や赤、青の色で彩られ、さらに煌びやかになり、皇室の廟の風格を増しました。
中岳廟の建築物は全部で11からなります。手前から順番に中華門、遥参亭、天中閣、祟聖門、中岳大殿、寝殿、御書楼です。これらの建物は、全長650メートルに及ぶ中軸線に沿い南から北へ、低いところから高いところへと建てられています。
元々は中岳の神を祭る場所だった中岳廟は、北魏の時代(386~534年)以後、重要な道教の道観となり、嵩山地区における最初の道教基地として、「第六小洞天」と尊称されました。
崇聖門の東には北宋の時代(960~1127年)に建てられた古い倉庫があります。その四隅に倉庫を守る四体の鉄人が立っています。これらは北宋(1064年)の鋳造で、高さは約3メートル、重さが約3トンです。鉄人は眉を上げ、目を見開き、胸を張り、拳を握り、その姿は生き生きとして全身に力がみなぎっています。中国に現存する最も大きくて保存状態が最もよい「倉庫を守る鉄人」であり、北宋時代の鋳造芸術の珍品です。
峻極門は中岳大殿の中心の庭の山門で、金(1161~1189年)に建造されました。門内の両側には、高さ4.5メートルの武士の塑像が2体あり、逞しさを表しています。
峻極門の辺りには多くの珍しい歴代の文化財があります。その中で最も貴重なのは、北魏(456)年に刻まれた「中岳嵩高霊廟碑」です。これは嵩山地区に現存する最も古い石碑で、現在は文字の大部分は剥落し、最初と最後の数百文字しか残っていません。碑文は当時の嵩山地区の有名な道士であった寇謙之により書かれたといわれています。字体の構成は整然としており、文字は北魏時代の書道芸術と中岳廟の宗教の歴史を研究する上で極めて大切な実物資料になっています。
峻極殿は中岳大殿とも呼ばれ、高さが約3メートルの大きな台の上に建てられています。その建築様式は北京にある故宮の太和殿に似ています。明・清の時代(14~20世紀初め)の皇宮や皇陵に次ぐ規模の大殿です。大殿の面積は約920平方メートルで、幾重にも重なる屋根の庇と黄色の瓦の大殿は、壮大です。殿内の天井板には彩色絵が施されています。
大殿の天井の中央には「盤龍藻井」と呼ばれる装飾がつくられています。これはコノテガシワの木の根を彫ってつくられたと言われ、その工芸は精緻で、細工は天然の美をしのぐほど巧みなものです。
大殿内の神棚の中央に祭られている座像は、則天武后が封じた「中岳大帝天中王」です。高さは5メートルを超え、その姿は雄大です。その左右に仏像が並んでいます。神棚の外の両側には、鎧兜に身を固め、手に斧を持った2人の鎮殿将軍の塑像があります。高さは約6メートルで、その姿は雄大です。
皆さん、世界遺産の河南省登封市の「天地の中」に興味があれば、是非、お越しください。
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