中華人民共和国全国人民代表大会は、各省、自治区、直轄市および人民解放軍から選出された代表で構成される最高国家権力機関で、一院制です。毎期の任期は5年で、毎年1回会議が開かれ、全国人民代表大会常務委員会により召集されます。このほか常務委員会が必要と認めた場合または5分の1以上の代表の提案があった場合、臨時に全国人民代表大会の会議を開くことができます。

　全国人民代表大会の職権

　１．憲法の修改正、憲法施行の監督、刑事、民事、国家機関の基本的法律とその他の基本法律の制定と修改正、全国人民代表大会常務委員会で不適切な決定が行われた場合の改めと取消を行います。

　２．国民経済、社会発展計画とその計画執行情況報告の審査と認可、国家予算と予算執行情況報告の審査と認可を行います。

　３．全国人民代表大会常務委員会委員長、副委員長、秘書長と委員を選出します。

　中華人民共和国の国家主席、副主席の選出、中華人民共和国の国家主席の指名に基づき、国務院首相の人選を行います。国務院首相の指名に基づき、国務院の副首相、国務委員、各閣僚、各委員会の主任、会計検査署の検査長、秘書長の人選を行います。

　中央軍事委員会主席の選出、中央軍事委員会の主席の指名に基づき、中央軍事委員会のその他の構成メンバーの人選を行います。

　最高人民裁判所の裁判長と最高人民検察院検察長を選出します。

　そして全国人民代表大会は以上の人員を罷免する権利を有しています。

　４．省、自治区及び直轄市の配置を認可し、特別行政区設置及びその制度を決定します。また戦争と平和に関わる問題を処理し、必要事項を決定します。

　その他の職権

　全国人民代表大会は、毎年の第一四半期に開かれます。全国人民大会が開かれる際、選挙で選出された議長団が会議を主催します。会議の代表は選挙が行われた部門に基づき、代表団を構成します。全国人民代表大会議長団、常務委員会、各専門委員会、国務院、中央軍事委員会、最高人民裁判所、最高人民検察院は、大会の職権範囲内にある議案を大会に提出することができ、議長団の決定によって会議の議事日程に組み入れられます。1つの代表団、あるいは30名以上の代表の連名があれば、大会の職権の範囲内にある議案を大会に提出することができ、議長団が会議の議事日程に組み入れるかどうかを決めます。あるいは、先に関係専門委員会に提出して審議を受けた後、会議の議事日程に組み入れるかどうかを決定します。

　全国人民代表大会会議が議案を審議する一般的なプロセス

　提案者は議案の説明を行い、各代表団全体会議、代表グループ会議はそれを審議します。議長団は、議案を関係専門委員会に提出して審議を行い、報告を提出します。議長団は審議後、全体会議に表決を求める提案をします。議案の表決は投票方式、挙手またはその他の方法で行われ、これは議長団が決めます。表決を経て、議案は半数以上の代表の賛成をもって採択されます。表決の結果は、会議の主催者がその場で発表します。憲法の修改正の場合は、常務委員会、あるいは5分の1以上の代表による提案が必要であり、投票方式で表決し、3分の2以上の代表の賛成をもって採択されます。

　各代表団が議案や関係報告を審議する場合、関係部門は責任者を会議に派遣し、意見を聴取した後、代表からの質問に答えなければなりません。全人代人民代表大会議開催期間中、1つの代表団あるいは30名以上の代表の連名があった場合は書面により、国務院や国務院に属する各部門、各委員および最高人民裁判所、最高人民検察院に質問を提出することが出来ます。議長団、3つの以上の代表団あるいは10分の1以上の代表の連名があれば特殊な問題に関する調査委員会の設立を提案することができ、議長団は全体会議にそれを提出して決定を受けます。