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一時間目は、世界自然遺産に登録された四川省の都江堰と青城山をご紹介します。
世界遺産めぐり、四川省の都江堰と青城山
四川省の西側の平原は、肥沃な土地と豊かな作物に恵まれることから、「天府の国」と称されています。この豊かな大地を守るのが、2200年以上も前の戦国時代に造られた中国最古の水利施設――都江堰です。灌漑と干ばつ時の水流を自動制御する施設で、現在も67万ヘクタールもの広い田畑をうるおしています。都江堰の西にある青城山は143年、道教の創始者の1人である張陵が教えを開き、道教発祥の地となったところです。道教文化がもっとも集中した場所で、道教の建築物の道宮や道観、養生医療、気功武術学、道教音楽などが今に伝えられています。都江堰と青城山は2000年末、ユネスコの世界文化遺産リストに登録されました。
都江堰は、四川省の省都・成都市から西北へ約50キロ、車で高速道路を経由して約30分の場所にあります。ここは四川省西部の平原と青海・チベット高原の周辺にあたり、中国西部の山々から発した流れが長江の支流・岷江をつくって、一帯を灌漑しています。もともと古代の岷江は、はん濫の絶えない「災禍の河」として人々が恐れていました。紀元前277年、秦の国は、勢力拡大と他の6ヵ国との統一を図るために、蜀の豊かな資源を利用しようとしました。そこで秦の昭王は、軍事家であり科学者の李氷を蜀郡の最高行政長官を命じ、現地に派遣しました。李氷は「西北部が高く東南部が低い」成都平原の地理を利用し、民を率いて8年がかりで紀元前256年、岷江の分水と治水、土砂排出と防災の設備ともなるこの都江堰水利施設を建設したのです。
都江堰風景区にある東岸の高台にのぼると、都江堰の河口が3つの部分からなるのがわかります。北部には、分水用の中洲・金剛堤という堤防の先端となる「魚嘴」があり、岷江の流れを二分していました。中部には、岷江の流れを内・外に分ける長さ1キロもの金剛堤が横たわり、その南側に洪水を押し流し、土砂を排出する施設「飛沙堰」が作られていました。南部には、用水路への流れを自動制御する役割の「宝瓶口」があります。李氷が民を率いて築いたもので、その大がかりな仕事にはただ感服するばかりです。高台から北へ降りると、李氷父子をまつる祠「二王廟」があります……
都江堰の西へ約15キロのところに、道教発祥地の1つとして有名な青城山があります。青城山は奥深く静かだという意味の幽玄の字で表されるように、古木がそびえたち、真夏でも涼しく、神秘的な趣の道観が点在していて、まさに幽境そのものです。山道は起伏が激しい山でもあります。
後漢の順帝の時代に、道教の創始者・張陵は道家の学問「黄老の学」を用いて、古代、蜀の道教最古の一派を「天師道」に改めました。そのため、青城山は天師道の発祥地の1つとなり、道教の十大洞天(仙人のいるところ)の中の「第五洞天」となりました。千余年の歴史に多彩な道教文化が花開いた青城山では、いたるところに道観を見ることができます。
例えば、「円明宮」という道観があります。北斗七星の母の女神、円明道母天尊をまつった道観です。この円明宮を離れ、また西南方向に1キロほど上ると、呂洞賓と邱処機をまつった玉清宮に着きます。静寂に包まれた山の斜面に、玉清宮は佇んでいます。殿堂のある高台の上から見下ろすと、たちまち視界が開けます。付近一帯には茶園が広がり、また遠方には、霧に覆われた青城山の山並みが、かすんで見えます。
玉清宮以外にも山頂に向かう山道には、途中「観音閣」、「上清宮」などの建物があります。これを過ぎて、標高1260メートルの「青城第一峰」と呼ばれる彭祖峰にたどり着きます。頂には、高さ33メートルの八角六層の塔形の楼閣「老君閣」がそびえたっています……
皆さん、数千年の歴史を誇るダム、道教の名山に興味があれば、四川省の都江堰、そして、青城山を是非訪れてください。
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