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中国社会科学院『日本青書(2014)』  安部内閣の動向他

2014-04-25 15:40:54     cri    

 中国社会科学院は3月31日北京で、『日本青書(2014)』の発表会および日本情勢に関するシンポジウムを行いました。

 『日本青書(2014)』は総論、政治安全、対外関係、経済・社会、付録の5つの章からなり、2013年の日本の政治情勢、安全政策、対外関係、経済・社会の諸分野を振り返って分析しています。特に安部内閣が推進・加速化させる日本の「全面正常化」(「正常な国」の地位を全面的に回復するとともに、「強い日本」を取り戻すための新しい国づくり)や、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領土権問題の激化の背景にある日中関係などの問題を深く検討しています。また2014年の日本の政治、外交、安全防衛、経済・社会の発展傾向に対する展望のほか、2013年に日本で起こった大きな事件を収録した付録もついています。

 以下は、「日本青書(2014)」の要旨です。

■政治

 2012年末の衆議院選挙や2013年7月の参議院選挙の結果により、日本の自民党が再び政権与党となり、衆議院の多数派の与党が参議院の少数派となるねじれ国会の構造を解決させたことが、日本の政党政治の動向に大きな影響を与えた。安部内閣は日本の「全面正常化」を加速し、政治の右傾化を良しとする理念を基礎とした戦略的外交を世界で展開し、前向きな平和主義による安全防衛政策からの転換を進めた。

■中日関係

 2013年に安部内閣は日米同盟の強化を求めるほか、周辺諸国と安全保障に関する提携強化を進め、多方面にわたって中国を牽制した。釣魚島をめぐる中日関係は硬直したままで、中日貿易摩擦や対立は、外交、安全保障関係の緊張、貿易、投資減少、国民感情のさらなる悪化など、多方面にわたって広がった。特に2013年末の安部首相による靖国参拝は、国際正義や人類の良識に反するもので、戦後の国際秩序を真っ向から否定し、中日関係を正常国交化以降最も厳しい局面に陥らせた。

■日本経済

 2013年の日本経済をまとめると、日本の株価は高値で始まり、安値で終わった。金融緩和政策と財政政策を強力に推し進める中、アベノミクスは短期的には劇的な効果を発揮したが、実施して1年後にはその効果も弱まり、実質経済成長率(GDP)も減少傾向が明らかになった。社会保障改革面では、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」が国会で成立し、高齢化対策、医療、高齢者介護などの分野で改革を実施した。対外経済戦略では、日米同盟を強化し、国際経済ルールの制定権などを把握するという要素を考慮し、最終的にTPPに参加した。

■2014年の展望

 2014年の日本の内外政策動向および情勢に関連する展望は、2014年の安部内閣は「強い日本」の政治的抱負を実現させるため、右傾化の道を突き進み、「全面正常化」に向けてまい進するだろう。歴史問題で国際社会に挑み、新しい安全保障戦略と防衛政策の実施を加速化し、中国に対して強行策を採るなど、基本政策は変わらない。しかし、各方面での制約から、集団的自衛権行使のための憲法解釈の変更は難しいと見られる。「全面正常化」戦略に含まれる内的矛盾は国内や国際的な矛盾を激化させ、安部内閣はさらなる圧力を迎えるだろう。

■2014年の中日関係

 東アジアにおけるパワーバランスの逆転や日本政治の右傾化が進む中、2014年の中日関係は釣魚島の領有権問題をめぐる歴史問題がさらに激化し、厳しい局面に陥ることが予想される。健全かつ安定した中日関係は双方の長期的な発展利益に合致する。中国は一貫して中日関係を重視しており、対話を通してこの問題を解決することを主張している。しかし、中日関係の改善や発展は双方の歩み寄りが必要であり、現段階では日本がその主導権を持っている。日本側は中日関係が難しい局面から抜け出すためにも歴史の事実や国際正義を正視し、両国間の敏感な問題を適切に処理しなければならない。

■2014年の日本経済

 2014年の日本経済の情勢は楽観的とはいえない。「アベノミクス」はさらに成長戦略の具体的な経済対策の実施が必要となる。日本経済は政策を転換させる新しい局面を迎えるだろう。政府の債務や社会保障制度改革、長期にわたって持続成長する支柱産業の育成、福島の原子力発電所の放射性廃棄物の処理など、多くの難問とリスクが山積みだ。4月から、日本は消費税を5%から8%に引き上げるが、同政策が個人消費に打撃を与えることは必至だ。2014年は日本の経済成長率は大幅に減速するだろう。東京が2020年の夏季五輪の開催国に決定したことで、安部首相はこれを日本経済のカンフル剤としたい考えだ。しかし、2014年が日本にとって「失われた20年」から抜け出し、復活の始まりの1年となるかどうかは、安部政権の政治的手腕が問われることは間違いない。

  『日本青書(2014)』(中華日本学会、中国社会科学院日本研究所、社会科学文献出版社による共同出版)は、中国社会科学院日本研究所の研究者が中心となり、中日両国関連分野の日本研究家らと共同で完成させた年度研究成果をまとめたものです。(「人民網」)

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