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世界文化遺産、マカオの旧市街地
マカオは、もともと広東省香山県(今の中山市)に属する小さな漁村でした。 16世紀の中ごろ、ポルトガル人が最初に上陸したとき、この地の漁民に地名を尋ねました。漁民は近くにある廟のことを聞かれたと勘違いして、地元の方言で「媽閣」と答えました。そこで、ポルトガル人はその「媽閣」の音訳にあたる「MACAU」を、この地の名前とし、以来、マカオと呼ばれるようになりました。
明朝政府は400年前、ポルトガル人を主とする外国商人の住居と貿易用に、マカオ半島の南西部の一部に居住を許しました。以来、マカオは19世紀前半の中国における主要な対外港湾となり、アジア地域の重要な国際港としても発展してきました。貿易が盛んになり、世界各地からやってきた人々を引きつけました。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ四大陸からの異なる民族で構成された国際都市がここに誕生しました。
異なる文化思想、職業技芸、風俗習慣を携えてそれぞれ異郷から集まった人々は、マカオに住宅や教会を建て、道路や砲台、墓地に至るまでさまざまなものを築きました。彼らは、マカオに数々の歴史的な痕跡を残しました。
現在、マカオの大通りや小さな路地を歩いてみると、ピンク色の洋館、クリーム色の教会、白い灯台、またパステルグリーンの西洋風の劇場が、中国の伝統的な民家、騎楼(歩道の上に建物の二階部分が突き出ている建物)、古びた廟と共存しています。これはマカオの独特な町の風景を作り上げています。
2005年7月、第29回ユネスコ世界遺産委員会では、「マカオ歴史市街地区」が世界文化遺産に登録されました。マカオ歴史市街地区は、マカオの旧市街地を中心とする歴史ある町並みです。その古い建築、教会、廟は、周囲の広場や街道と一体化し、マカオの人々の生活と密接に関わっています。
媽閣廟はマカオ半島の西南端に位置し、内港の入口を守っています。媽閣廟はマカオに現存するもっとも古い廟であり、マカオの文化財のうちもっとも長い間保存されてきたものです。この廟は主に媽祖を信仰しているものの、構内には観音、土地神、阿弥陀仏などもあり、民間の神廟と仏教寺院が相容れるという特徴があります。
リラウ広場は非常に有名です。リラウとは、ポルトガル語で「山泉」という意味です。かつてここはマカオの主要な水源であり、マカオでポルトガル人が最初に集まり住んでいた場所の一つでした。
リラウ広場からは、鄭家大屋を眺めることができます。鄭家大屋は清末の裕福な商人の邸宅で、1881年ごろに建てられた、中国近代の著名な実業家、慈善家である鄭観応(1842~1921年)の先祖の住居です。鄭観応の代表作『盛世危言』には、国を救って豊かで強くし、世界の強国に追い付こうという西洋諸国に学んだ彼の進歩的な思想と追求が反映されています。
ポルトガル人がマカオで城壁を築いたのは、早くは1569年以前にまで溯ります。マカオ全体で、西部の内港のほか、北部と東部および南部にすべて城壁が築かれ、それぞれの要塞には砲台も設けられました。マカオは軍事的防衛上において、厳重な砦となりました。現存する旧城壁は、当時に建てられたものの一部です。
ポルトガル人がマカオに上陸して以来、ここはキリスト教布教の地となったのです。最初にマカオにやってきた神父は、木材と筵で教会を建てました。17世紀の中ごろからは、石としっくいで建てられた教会が多くなりました。
マカオの教会の建築様式は、ヨーロッパ大陸のバロック式が主で、東洋及び熱帯地域の建築の特色も融合しています。ある教会堂の建物には中国風のデザインも見られます。
著名な大三巴牌坊は、聖ポール天主堂の前壁の遺跡です。聖ポール天主堂は極東地域における最初の西洋式大学・聖ポール学院に属しました。1580年に創設された聖ポール天主堂は、1595年、1601年の二度にわたって火事に遭い、教会が焼け落ちてしまいました。1602年より第3回の建て直しが始まったものの、ようやく完成したのは1637~1640年ごろのことです。しかし、1835年、聖ポール学院とその付属教会はまたもや火事にみまわれてしまいます。しかし、この時は、わずかに教会堂の正面の前壁、基礎の大部分及び教会堂前の石段だけは焼け残りました。これが世界的に有名な大三巴牌坊――聖ポール天主堂跡です。
マカオにはさらに「小三巴」もあります。それはマカオのもっとも美しい教会の一つ、聖ヨセフ修道院の聖堂です。その入口のホールには、四本のバロック式の木製のねじれ柱がそびえ立ち、自然光が屋根の中央部の半円形の天井からふり注ぎます。そこに座ると、静かで穏やかな気持ちになれます。聖ヨセフ修道院は、1728年にイエズス会の修道士によって建てられた聖ポール学院同様、中国で伝道する宣教師を育成するカトリックの修道院です。創立以来、数百名のカトリックの聖職者を育成してきました。聖ヨセフ修道院と隣接する聖堂は1746年に建造が始まり、1758年に完成しました。その規模は聖ポール天主堂に次ぐものです……
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