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中国世界遺産めぐり、湖南省の武陵源
武陵源は、中国湖南省の北西部、長江の中流域に広がる山岳地帯です。中国で「峰三千、水八百」と称えられ、有名な桂林と黄山の山水に勝るとも劣らない、幻想的な中国水墨画の山水の世界を楽しむことが出来ます。
武陵源は1992年12月世界自然遺産としてユネスコに指定されました。
1992年に世界遺産に登録され、日本でも徐々にその名が浸透しつつある武陵源は、湖南省北西部の張家界市にあります。湖南省の省都・長沙からは40分のフライトです。
500平方キロの面積に砂岩の石柱が全部で3103本も林立し、このうち、1000メートルを超えるものだけでも240本、山水画がそのまま3次元空間に現れてきたような、幽玄かつ壮大な奇観が見る者を圧倒します。
武陵源風景区は張家界国家森林公園、天子山自然保護区、索渓峪自然保護区からなっています。また張家界森林公園に隣接して袁家界、楊家界などの風景区もあります。
世界遺産への登録名は武陵源で、日本でもそのように表記されていますが、行政上、武陵源は張家界市に属しているため、現地では「張家界」の名がより一般的です。世界遺産に登録されるより前の1982年に張家界国家森林公園が設立され、その名がすっかり浸透したことから、1994年、市の名前を以前の「大庸市」から「張家界市」に変更しました。
武陵源には、いくつかの少数民族、トゥチャ族、白族、ミャオ族等が暮らしており、人口の69%を占めています。険しい段々畑を耕しながら、奥地の村でひっそりと生きてきた少数民族の人々は、その暮しを楽しんでいるようです。
3億8000万年前、ここは海の底でした。やがて地殻変動により大地が隆起し、風雨の浸食によって台地が削られ深い渓谷を刻み、現在のような断崖絶壁を形づくったのです。3000本以上の石柱の形はさまざまで、ごつごつとした岩肌を露にするものや、一刀両断に立ち落とされ屏風のようにそそり立つもの、先端が尖ったもの、やや丸みを帯びたものがあります。
武陵源風景区の中心には張家界国家森林公園、索渓峪風景区、天子山風景区があり、総面積は500平方キロメートルです。そこにはユニークな形の峰、珍しい岩石、谷、澄んだ水、深い洞窟で知られる「五つの絶景」があります。また、花崗岩などが風化してできた珪砂で形成された峰が3000カ所、高さ400メートル以上の峰だけで1000カ所もあります。多くの峰が竹の子のようにぎっしりと林立し、スケールも大きく、国内外でも稀に見る景観であることから箱庭の拡大版や仙境の縮小版とも呼ばれています。
ここには多くの種類の動物や植物が生息することから天然の動物園、植物園と呼ばれ、しかも地形的にも極めて珍しいことから地質公園とも呼ばれています。どの峰もその形が珍しく、静かな洞穴が広がり、美しい水が流れ、水がきれいで、木々が密生しているといった特徴があります。
張家界国家森林公園
武陵源の一番の見所は海抜800~1300メートルにある「張家界」で、紅砂岩でできた峰林です。ここは今、張家界国家森林公園と呼ばれ、1982年に中国が初めて指定した国家森林公園です。張家界市の北部約32キロにあり、年間の平均温度は16℃~17℃位です。張家界には渓谷や屋根沿いにいくつもの遊歩道があり、渓谷でのんびりと風景を観賞するのに最適です。張家界国家森林公園は、黄石寨と金鞭渓二つの風景区からなっています。
黄石寨
前漢の時代に劉邦の参謀である張良がここで黄石公と呼ばれた老人に救われた伝説にちなんで名付けられました。山脈の背中はライオンが這っているように見えることから黄獅寨ともいいます。標高1048メートルで、龍女峰や南天一柱のある屋根からの石段に沿って登れば山頂に登れます。山頂から眺める峰群は絶景です。頂上に3キロの散策コース、10カ所の展望台があり、「六奇閣」「金亀岩」「南天一柱」などの珍しい岩を眺められます。張家界で最も人気なコースで、「張家界に至りで黄石寨に至らざれば未だに張家界にあらず」といわれるほどです。
1997年に完成したロープウエイはわずか3分で頂上へたどり着きますが、景色をじっくり楽しむなら4キロの道のりを自分の足でじっくり登るのがいいでしょう。時間は2時間30分ほどです。
次は、金鞭渓です。
全長6キロ、2時間ぐらいの渓谷沿いのコースです。石畳の道はよく整備され、アップダウンも少なく歩きやすいです。「世界で一番綺麗な峡谷」と呼ばれ、空気は透明で、澄みわたり、周りの景色も非常に素晴らしいです。両側には、天をつくように高く聳えた峰が林立し、貴重で珍しい植物が生い茂っています。さらさらと流れる渓水はどこまでも透き通り、水の音が深い谷に響いています。こんな素晴らしい景観の中での森林浴は、ゆったりした時の流れを実感できます。
渓谷の入口に、金鞭岩と酔羅漢という二つの岩がそびえ、仙境の入口を形作っています。また両岸の特徴ある岩には、中国の史実や伝説にもとづいて人物や動物の名前がつけられています。コース名となっている高さ300メートルの金鞭岩は、その昔、始皇帝が海を埋め立てるため山を切り崩そうとしたけれど叶わず、その武器を打ち捨てたものといわれています。
ちょうど中間点にあたる紫草潭のあたりに休みどころがあり、ここでトゥチャ族の歌を鑑賞することもできます……
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