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ナポレオンはかつて「将軍になる考えがない兵士はよい兵士ではない」と言ったことがあります。そうすると、夢がない人生はいい人生ではないと言うのだろうか。
もし、「君の夢は何ですか?」と聞かれたら、一瞬、僕は戸惑って答えられなくなります。「自分にとって本当の夢は何か?」という質問が、そのときからずっと真剣に考えれば考えるほど、分からなくなって困っています。
学生たちに「あなたの夢は何ですか?」と聞くと、小学生なら「科学者」、中学生なら「いい大学に入りたい」と答え、大学生ならほとんど「安定的な仕事がほしい」というのが一般的でしょう。時間の流れと共に、かつての夢も時間や心境によってこんなに変わっていくのでしょうか。
この問題を考え続けている間、ある日偶然『次郎は鮨の夢を見る』という日本の映画を見ました。映画の主人公である小野次郎さんの仕事や人生に対する哲学的な考え方や仕事に対する真剣な態度にすっかり心をひきつけられてしまいました。その後も何回も繰り返しその映画を見ました。
小野次郎さんはミシュランの3つ星を獲得したお寿司のプロです。寿司とは日本料理で代表的な存在ですが、食材のもっとも少ない食事だと言われるように、作る材料はほぼネタとシャリだけです。簡単ながらも小野次郎はこれをもっとシンプルにすることによって、寿司作りを別次元のもの、もっと純粋なものへと昇華させたのです。小野次郎の根本的な考え方は、自己満足する仕事を見つけるためにあちこち行ったりしません。今、自分がやっている仕事は自分が選んだのです。好きになるように頑張らなくてはいけないと思っているのです。そういうわけで、もう85歳になっている次郎は今も現役で、毎日東京の地下街にある小さなお寿司屋さんで寿司を握り続けていて、毎日同じものを提供できるように努めています。そこで毎日同じことを繰り返し繰り返しやっていくうちに、必ず究極の品が生み出されるのだと次郎はそう信じているでしょう。
それで、「自分にとって本当の夢は何か」という問題をもう一度振り返って考えました。今、勉強している日本語という科目は自分が選んだのですが、でも、本当に次郎のように自分でやっていることにベストを尽くしているのか?せっかく習った日本語をどう生かして中日友好交流のためにどう役立たせるのか?このような問題を考えたことがあるかといろいろ反省してみました。
日本語を勉強して、日本語で映画とか、アニメとかいろいろ見ることができ、次郎のような平凡なのに優れている日本人がいることも知るようになりました。これは、ぜんぜん日本語ができない多くの中国人より日本という国のことを知っていることになるのです。
今、ご存知のように、中日両国の間にはまだ氷が横たわっていて、時々寒風も吹いて、交流の場を狭めようとしていますが、僕のように日本語を身につけた、中日交流の大切さを知っている中国人としては、この冷えた関係が心配で、中日友好の関係を早く正常に戻すために何かしなければなりません。自分が知っているリアルな日本人をまわりの人々に伝えるよう、友好の架け橋になる責任を担わなければならないと思います。次郎が毎日同じことを繰り返し繰り返しやっていくうちに、必ず究極の品が生み出されるように、日本語を一つの技として、毎日磨いていきたいです。いつか、この技を剣として中日交流の壁を断ち切り、中国と日本の間にお互いに理解した架け橋を建てて頑張っていきたいと思っています。
これが私の本当の夢です。
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