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暦の上ではもう三月なのに、冬の寒さはまだ完全に去っていない。学校のどこを見ても、みんなはセーターにコートを着ている。しかし、自然の中で、春の息吹が溢れている。薄いピンクの白木蓮、赤い梅はあちこち綻びたりして、冬の間に草木がなくなった山にも青い草が飾られていた。朝、図書館へ行く途中、川辺で釣りをしているお爺さんの姿もよく見られる。なんか冷たい気温さえ除けば、今は春の最高な時期のような感じがする。
一昨日の午後、一人で学校の浴場から寮へ帰る途中、道端の青桐から一枚の葉が落ちる音が、私の耳に聞こえてきた。本当に小さい音だけど、人が少ないから、気づいた。私はその葉を拾いあげて、じっと見ていた。
これは少し厚くて固い枯れ葉だ。長い間梢にあったせいなのか、何度も風と雨を経験したりして、その葉の筋はなんか、うちのお婆ちゃんの手の青筋のように目立っている。小さい時、私はずっとお婆ちゃんと一緒に住んでいたが、中学生の時、両親のそばに戻ってきた。その後、色々なことがあり、あんまりお婆ちゃんの家へ行かなくなった。今、振り返ってみると、お婆ちゃんのことについて、一番深く記憶に残っているのはお婆ちゃんの手だった。その時、毎回その手を見ると、私は恐ろしいとか汚いとか思っていた。大きくなるにしたがって、その突っ張った青筋とその黒っぽい垢はお婆ちゃんが私たちのために、一生懸命働いた証だったということをだんだん理解できるようになった。この枯葉を見て、お婆ちゃんと一緒に暮らしていた思い出が一つ一つ頭に浮かんだ。
青桐は清明節の後しか芽生えないと聞いたことがある。この枯れ葉は新しい葉を待っているのかなあと、私は勝手に思っていたが、すぐにそんなバカみたいな考えに、思わず笑い出してしまった。
青桐の下に来て、そっとこの枯葉を置いて、私は寮の方へ歩いていった。今週、必ずお婆ちゃんの家へ行くことを心に決めた。
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