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気がつかないうちに、春が来た。
どうしてわかるのだろうか。
あっ、風が吹いている。どんな季節でも吹くのだが、「そよそよ」と優しく暖かくなった。あまり強くなくて、ママのように頬を撫でてくれる。冬の寒風のびゅうびゅうのかわりにそよそよとなり、快く春の優しさを感じられる。
気がつかないうちに、そよそよ、そよそよという音が耳に入った。春風か。春が来た。
あっ、雨も降っている。「しとしと」と止まずに降り続いている。降っては止み、止んでは降る。雨に恵まれて、蕾がついたり、芽が吹いたり、若葉が萌え出たりして、生き物みんなが生き生きとし、元気に溢れてくる。しとしと降り、緑が多くなった。
気がつかないうちに、しとしと、しとしとという音が耳に入った。春雨か。春が来た。
あっ、雷も鳴っている。「ごろごろ」と去年の夏から久しぶりに鳴った。ドラムのようにあるリズムに合わせて演奏し、すごく響いてきた。
気がつかないうちに、ごろごろ、ごろごろという音が耳に入った。春雷か。春が来た。
「そよそよ」「しとしと」「ごろごろ」、春のこえが聞こえてきた。
春が来た。うちの庭にも春のこえがいっぱい。風がそよそよと吹いている。雨がしとしとと降っている。雷もごろごろとなっている。その中に、にこにこ笑っている爽やかなこえも混じっている。妹は、雨のなかをあちこち歩いたり、じっと見たりしている。
「姉ちゃん、見て。見て。花、咲いてるよ。すっごくきれいだよ。虫もいるよ。丸くて、面白いよ。」
春のこえ、決してそれだけではない。気をつけて、よく聞けば聞こえる。
気がつかないうちに、春のこえが耳に入った、「そっか、もう春か」。
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