9月18日の北京、今日も爽やかな青空です。果物屋の店先には柿が出回るようになり、秋の気配がどんどん深まってきています。
ところが、ここのところ、青空や美味しい果物をゆっくり味わうこともできない事態が続いています。日本政府が釣魚島を国有化したことを受け、中日関係に不穏なムードが漂っています。
こうした中、今週の月曜日に中国のソーシャルメディアの「ミニブログ(Weibo)」では、ある日本人青年が中国語で書いた一言のつぶやきが大きな波紋を起こしています。
その青年とは、神奈川県藤沢市在住で長野市出身の元看護師の河原啓一郎さん(27歳)。中国をずっと自転車で旅している彼は、今年の初めに武漢で自転車を盗まれました。ところが、それがミニブログで伝えられると、警察をはじめ、一般市民も一緒になって連絡を取り合って自転車を探し、無事戻ってきました。
河原さんはその後もずっと中国の旅を続けています。3月初め、彼はミニブログのページを開設し、最近は中国人の友人の助けを借りて、写真と中国語のつぶやきを始めました。18日までに書き込みの本数は59本。それに対して、フォロアーは6万人を超えています。
雲南と貴州省の境で地震が起きると、河原さんは被災地へ薬品を届けに行くボランティア活動を始めました。そんな彼が、17日夜中の0時に中国語でミニブログに書いた書き込みは、
(大意)
「たった今、私はたくさんの人に攻められました。怪我はなかったものの、とても悲しんでいます」
わずか一行のつぶやきで、詳しいことは書かれていませんが、18日午後現在すでに4万4千回転送され、寄せられたコメントの数は8万あまり。その数は現在もまだ増え続けています。
あまりの注目度に17日夜、CCTVの報道番組で、名キャスターの白岩松さんが番組の冒頭で彼のミニブログとフォロアーの書き込みを紹介したほどです。
その主な内容をピックアップしますと、
◆ 申し訳ありません。だけど、全員が全員そんな人たちではありません。どうぞしっかりと自分の安全に気をつけてください。
◆ ごめんなさい。彼らは中国人を代表しているわけではありません。
◆ 申し訳ありません。たいへんな時期ですので、安全に気をつけてください。被災地の皆さんへの応援、どうもありがとう。
◆ 本当に、本当に申し訳なく思っています。大部分の中国人はあなたのことを感謝していると信じています。
◆ こんな時になんと言ったらよいだろうか。(途中から日本語で)申し訳ございません。どうぞ諦めずに、頑張ってね。
中国では最近、「正能量」(ポジティブなエネルギー)という言葉を良く耳にします。河原さんのつぶやきに寄せられた数千ページにおよぶ書き込みのほんの一部だけ見させてもらったところ、悪意のある書き込みは1件も見当たりませんでした。今回の件に関して、ポジティブなエネルギーはしっかりパワーを発揮しているようです。
前置きが長くなった今週の経済直行便ですが、前半の「ちょっと勉強しました」では、9月初め、北京のインターネット広告を手掛ける「北京ログラス」社(山本達郎社長)が主催した「ソーシャルマーケティングセミナー」の様子を紹介します。後半の「CRIインタビュー」では、山西省大同市で20年間にわたって植樹活動を続けている「非営利法人 緑の地球ネットワーク」の高見邦雄事務局長、前中久行代表と高田直俊顧問に話を聞きます(写真右から高見さん、前中さん、高田さん)。
今の時期だからこそ、両国が信頼しあい、仲良く付き合えるにはどうすればよいのかを考える参考材料になれるよう、今週の番組を企画させていただきました。ぜひお聞きください。
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