湿地は、森林、海洋とともに、世界三大生態システムの1つです。湿地は人々の生活に直接にかかわり、人間の重要な生存環境の一つであり近年、世界中で関心が高まっています。今日の番組では中国東北部遼寧省の有名な湿地をご紹介します。
ナムスレはモンゴル語で、「仏様の瞳」という意味です。この場所は中国遼寧省彰武県の東北部、ホルチン砂漠の南の端、乾燥地域にあります。乾燥地帯にも関わらずここには天然湿地保護区があります。「ナムスレ自然保護区」です。現地の人々はここを「蓮の花の泡」と呼んでいます。どうして泡なのでしょうか。実は泡というのは現地の方言で小さい湖、小さな池のことを指すのです。この保護区の様子について、遼寧省埠新市林業局の高揚さんが次のように紹介してくれました。
「ここは乾燥地域で、水の蒸発量は非常に多いです。ナムスレ湿地は、動植物が豊富です。湿地の動物、植物、天然資源などを保護することは人間にとっても非常に意義が大きいことです。将来、人間の医療、健康と一部の特殊な病気の治療にここの天然資源が使われるかもしれません」
遼寧省の省都、瀋陽から5、6時間ほど車を走らせると、彰武県四合城郷の後馬村に到着しました。ここで、ナムスレ自然保護区管理所の所長、黄利さんと合流しました。この村からナムスレ自然保護区まではまだ6キロあるので、車で向かう途中、黄利さんがこの自然保護区の様子を紹介してくれました。
「自然保護区にはいくつかのエリアがありますが、中心エリアは放牧はもちろん、人間も立ち入り禁止です。これまでの10数年、毎年決まった日に、決まったエリアに草や木などを植えています。できるだけ自然をそのまま保護するよう努めているのです」
ナムスレ自然保護区には葦が茂り、蓮の花が咲き誇っています。砂漠地域にこのようなオアシスがあるなんて、不思議です。中国の北方地域で蓮の花の姿を見るのは非常に稀です。これについて、黄利所長は次のように語ってくれました。
「中国の南方地域では蓮の花はどこでも見られるものですが、東北部に蓮の花があるというのはとても珍しいことです。植物学の専門家はここの蓮の花を彰武暗紅と名づけました。この品種はここにしか生息していないのです」
ナムスレ自然保護区は生態環境の回復を目指し、現地の蓮の実を利用して栽培面積を拡大しています。当初は栽培面積は7ヘクタールでしたが、今は42ヘクタールに増えました。蓮のほかにも湿地にはいろいろな植物があり、これまでの調査で確認されたのは少なくとも247種類以上です。
保護活動のおかげで、夏になるとここは生い茂った緑の葦の中に蓮の花が咲く、美しい風景が広がります。この植物は美しい姿で人の目を楽しますだけではありません。湖の中に生えている葦と蓮は水中の有害物質を吸収し水質を浄化しているのです……(任春生)
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