六堡茶は広西の名物、その名は産地である梧州市蒼梧県六堡郷に因んだものです。梧州市は、広西チワン族自治区の東部に位置し、広東省との省境の近くです。桂林から梧州まで380キロ、高速道路で5時間かかりました。
さすが六堡茶の原産地というだけあって、泊ったホテルのロビーにも六堡茶の専門店がありました。店舗はいくつもあり、みな地元のお茶会社が出店しているそうです。その中の一店、茂聖という民間では一番大きい会社のお店に入りました。

中に入ると、壁沿いに棚が設置され、藁で編んだ大小様々な丸い入れ物がずらりと並べられています。この藁で編んだパッケージはこの会社が設計したもので、大自然から生まれたものというお茶のイメージを強調したものだという。
店中に独特な香りが漂っています。その香りは緑茶の清々しい香りではなく、ウーロン茶の鮮明な香りでも、紅茶の香ばしい香りでもない。何か地味で、100年も住んだ旧家のお屋敷から出てくる深い木の香りのようでした。店の真ん中に置いてあるテーブルを囲んで座ると、可愛らしい店員さんが手際よくお湯を沸かし、早速六堡茶を入れ始めました。まずは大きめのガラス製の容器に六堡茶を入れましたが、色は普通の紅茶よりさらに濃い褐色でした。そして、たっぷりのお湯を入れてすぐに出しました。これで、ほこりが落とされるほか、味がよく出るようになります。これを「醒茶」といいますが、お茶を醒ますということです。

いよいよ、半月も前から楽しみにしていた六堡茶を、自分の口で味わうときがやってきました。店員さんはガラス製の小さな茶碗にお茶を注ぐと、一人一人の前に出してくれました。素敵なワインレッドの色。言われなければワインだと思ってしまいそうな色です。手に取ってみると、透き通ってみえる。匂いを嗅いでみると、ほのかにフルーティーな香りがしてきました。少しすすって、口の中で味わうと、緑茶の渋さが全くない円やかな口当たりでした。しかし、このフルーティーな香りは一体なんなのでしょう。記憶の中にあるようが気がしますが、なかなか思い出せません。
その時、店員さんは「六堡茶はビンロージのような独特な香りがします」と種明かしをしてくれました。けれども、南国のフルーツであるビンロージと言われても、北方で育った私にとっては、その味自体、分からず困ってしまいます。むしろ、自分にとっては、木とフルーツがミックスした香りというほうが分かりやすいかもしれません。
六堡茶は黒茶に属します。黒茶といえば、雲南省のプーアル茶を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、プーアル茶にはこの独特の香りはありません。六堡茶の歴史は1500年前に遡りますが、200年ほど前から、香港やマカオをはじめ、東南アジアの国々に盛んに輸出されるようになり、人気が高くなったということです。
なぜ東南アジアで高い人気になったのでしょうか。それは六堡茶の効用と深い関係があります。蒸し暑く湿度の高い地域では、六堡茶は体内にこもった熱を出してくれるのです。また、後発酵茶として、アミノ酸やビタミン、微量元素を多く含むほか、油分を取ってくれるため、ダイエット効果の高いお茶としても受け入れられています。
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