
「知白守黒」のお店を出て、茶人二人のお勧めで、「打油茶」というお茶を使った地元の名物料理を食べに行きました。連れて行かれたのは車が行き来する道端の目立たないお店でした。道に面している壁が取りはらわれていて、店は広くないのに、開放感があって、つい入りたくなるという親近感があります。
テーブルは普通の高さのもののほか、子供用のような低いものもありました。四角いテーブルに背もたれのない四角い椅子、どちらも木の色そのままなので、素朴な感じです。夕方5時過ぎですが、夕食の時間にはまだ早い。3人は歩道に一番近い外側のテーブルに座りましたが、隣の低いテーブルに若いカップルが座って何かを食べていました。よく見ると、褐色のスープの中に、揚げ米やピーナツより一回り大きい丸いお菓子などが浮いてて、美味しそうでした。聞くと、まさにこれが名物料理の「打油茶」だということです。
早速三人分の「打油茶」を頼んでみました。一人一人の前に、揚げ餅米や衣がついた揚げピーナツを載せたお皿、お碗が置かれ、テーブルの真ん中に大きなやかんがどっしりと置かれました。まずはやかんからお碗にスープを注ぐと、褐色をしていてとても美味しそうには見えません。味見してみると、なんだか、苦いうえに、渋さ、辛さ、塩辛さなど、いろいろな味が混ざっていて、思わず眉をひそめてしまいました。これが桂林の名物? 本当に美味しいの?と疑い始めました。
折角だから、無駄にしてはいけないと思い、気を取り直して、揚げ餅米、ピーナッツ、刻みネギなどをスープに入れて、熱いうちに少しずつ食べ始めました。すると、数々の香ばしいトッピングを食べながらスープを飲んでいるうちに、不思議にスープの苦さと渋さと辛さをあまり感じなくなり、さっばりとした口あたりになってきました。
「打油茶」というのは、元々ヤオ族など少数民族の昔からの軽食です。加工をしてない茶の葉を油で炒め、水と塩、ショウガなどを加えて煮ると、茶葉の渋さとショウガの辛さがきついスープになります。こんな言葉があります。「一杯苦二杯甲(渋),三杯四杯好油茶」「一杯目は苦い、二杯目は渋い、三杯、四杯目でちょうど良いのが油茶」。なるほど、最初は渋くて苦かった「打油茶」が、飲んでいるうちに円やかになり、独特な風味が出てきました。飲み終わったあとは、いつかまた飲みたくなるだろうなぁと思いました。
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