23日は中国の東北地方で第1の山といわれる長白山へ。この取材がスタートしたばかりの頃、一行は吉林省政府から長白山の美しい写真ばかりを集めた小冊子をもらっていました。長白山の頂上には火口湖があり、まるで碧い宝石のようで、この世のものとも思えない美しさから「天池」と呼ばれているのですが、小冊子を見るなり、「この天池を実際に見ることができるのか……」と否応なく気分は盛り上がっていました。が、私の気持ちは微妙に複雑で……。

　実は韓国人の友人が、数年前にここを訪問したのですが、「何日待ってもいい天気にならないし、こんなきれいな景色はまず見られないよ」と、話していたのです。

　それに、今回の取材では、"景色がいいところ"に行くたびに、霧と雨にさえぎられ、何も見られなくなっていました。どうやら一行の中に「雨男」「雨女」がいるらしく、ロシア・朝鮮・中国の3国が国境を接し日本海も臨むことができる防川でも、仙景台と呼ばれる奇岩や美しい木々、清水で知られる場所に行った時も、すべて天気は最悪。私1人で中国国内を旅する場合、曇っていても雨にはならず、万里の長城に行く時など、最高の気象条件の時に行けるほどだったので、どちらかといえば「晴女」の私がいても、どうやら今回ばかりは太刀打ちできません。

　そんなわけで私の「いやーな予感」は見事に的中。頂上に向かう車の中で、ついに雨が降り始めてしまいました。車を降りれば、霧と雨で10メートル先も見渡せないほど。海抜2000メートルを超える山の頂上なので、天気が変わりやすいといえばそれまでですが、でも、正直なところ「それはないよー」という気分。あの天池が、厚い霧のベールの向こうにあるかと思うと……。

　韓国人の友達は「絶対この目で、あの美しい天池の景色を見たい」と言っていましたが、私自身ももう一度ここに来て、碧い天池を見たいと思いました。

　あとで聞いたのですが、この長白山を訪れるのに最適な季節は実は8月とのことで、この取材はちょっと早すぎたのかもしれません。もしこれを読んで長白山に行ってみたいと思われた方は、是非夏休みを利用してお越しください。（安藤）