中国の貿易会社(A社)はアメリカのB社に農産品C512を販売する予定で、7月17日B社に「1トン900ドルの農産品C512を300トン販売。すぐに船積みする。有効期限は7月25日まで」という注文受け書を発送しました。B社は7月22日A社に「貴社の17日の注文受け書を確認した。通常のシッピングドキュメント(船積書類)のほかに、原産地証明書、植物検疫証明書、海洋運輸に適した梱包を希望する」と返信しました。しばらく待ってもA社からの返事が来なかったため、8月3日にA社に「7月22日の返信は届いたか」と連絡しました。A社は8月10日に「7月22日の返信は受取った。ところが、貴社は弊社の7月17日の注文受け書の内容を変更したので、この注文受け書は失効した。
申し訳ないが、世界市場の価格変動のため、この失効が確認された後、弊社の農産品は他社に販売した」と返事をしました。B社はA社にその売買契約が成立したことを再度主張し、A社にその契約の履行を求めました。契約不履行の場合、
賠償金を支払うよう請求しました。しかし、A社は契約の不成立を主張したため、
B社は中国××市の中級人民裁判所に起訴し、A社に対し契約の履行を求めました。
Q:「国連国際貨物売買契約公約」によって、A社とB社の契約は成立しましたか。
A::この契約は成立します。B社はA社の注文受け書に対し、内容を追加しないよう変更をしました。そのため、原則的にはカウンターオファーと見なされます。
しかし、「国連国際貨物売買契約公約」の規定によれば、付加条件を承諾する場合には、実質的に注文受け書の条件を変更しないこと、また注文受け書を出した側が速やかに反対しない場合は、有効となります。この判例では、A社はB社の付加条件を承知しませんでしたが、速やかに反対の返事を出しませんでした。そのため、A社は契約の不成立を主張できません。
(科学出版社―「国際商業貿易法律と実例」より 整理・翻訳:Ken チェック:大澤)
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