26日は成都の中心から車で1時間半ほど離れた都江堰市を訪問。ここは世界遺産に登録された古代の水利施設・都江堰があることで世界的に知られていますが、四川大地震の時には震源地から近いこともあり大きな被害が出たところでもあります。この日訪問したのは、この都江堰市の中心部から車で1時間ほど北東に向かったところにある向峨郷です。かつては山間にある緑豊かな静かな農村といったところでしたが、震災後、状況は一転。この向峨郷に入ると、そこかしこに倒壊は免れたものの、人が住めないほど崩壊した建物が、地震から一年たった今でも手をつけることができずにそのままになっていました。
完成予想図の写真 |
工事現場。木造構造は一目瞭然 の写真 |
この日訪れた向峨郷の海虹小学校もそんな状況でした。幸い犠牲者は出なかったものの、授業は仮設教室で行うことを余儀なくされたため、上海市と政府の援助によって、新しい校舎が建てられることになりました。昨年の10月から建設工事がスタートし、現時点でまもなく内装工事という段階まで完成しています。しかもこの小学校は、中国で初めて木造建築の校舎となることから、大きく注目されています。
スプリンクラー用の配管 の写真 |
階段も木製の写真 |
建物内部の構造の写真 |
再生水システムの写真 |
この校舎の設計はカナダの建築家が、そして工事は上海の建設会社が担当しています。材木はすべてカナダから無償で提供された松材を使用。校舎は教室だけでなく、宿舎や食堂なども建てられます。さらに、美術や音楽などの授業専用の校舎も設けられます。さらにパソコンの導入も予定されており、完成の暁にはかなり豪華な校舎になるでしょう。被災地に建てられるので、地下数メートルのところにある岩盤に基礎を打ち込み、中国で最高レベルの耐震構造を採用しています。もちろん木造建築なので防火面にも配慮、さらにこの地域特有の湿度の高さを考慮して、防湿面も強化されています。さらに、トイレの水や防火用水は、学校の敷地内の地下に埋められたタンクに雨水を貯めて使うことになっています。
「学校がとてもきれい」と潘嬌さん の写真 |
実際、今この海虹小学校の仮設校舎に通う潘嬌さんに、新しい校舎について聞いてみると、「すごくきれい」と完成を心待ちにしているようでした。けれども彼女は現在6年生で、残念ながら秋からは中学生となるため、そこで勉強できるわけではないのですが……。
この工事は夏までに終わり、9月から始まる新学期から使われることになります。日本人の私の目から見ると、すべて木造の校舎というのは日本でもあまり例がなく、その意味でもこの秋からここで学び始める小学生たちが羨ましく思えました。
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