パンダたちに新しい家を作ろう
去年、四川大地震の後、四川省臥龍の63頭のパンダが全国各地で一時的に飼育されることになり、北京には8頭がやって来ました。それから1年が経ち、パンダたちは次々と故郷の四川に戻ることになりました。しかし、ふるさとに戻ったパンダたちの家の建て直しは順調に進められているのでしょうか?またパンダたちの健康と暮らしぶりはどうでしょうか?CRI・四川取材団と一緒にパンダたちの新しい家を訪ねてみましょう。
臥龍パンダ保護研究センターは地震によって大きな被害を受けましたが、そこに暮らすパンダたちもダメージを受けました。「パンダの父親」とも呼ばれる臥龍パンダ保護研究センターの張和民主任は、「地震で、山から落ちてきた岩に押しつぶされたパンダがいるし、おびえて流産してしまったパンダもいる。パンダの目を見ると、心が痛くなる」と話していましたが、一年後、愛情を注ぎ続ける飼育法が大きな成果を見せたそうです。「われわれは、パンダたちに心理的なケアを行っている。パンダを軽く撫でて、近づいて話かけたり、また、飼育員は地面に伏せてパンダたちとコミュニケートするようにした。一年にわたる努力によって、パンダたちはほぼ地震の前の状態に戻った」と述べました。
ところで、臥龍から100キロ余り離れた成都パンダ繁育研究基地では、青々とした竹林が一面に広がり、パンダたちは楽しく暮らしています。この基地を訪れたアメリカから来たワシントンさんは「パンダは本当にかわいい。初めてパンダを見たが、遊んでいる子供のパンダは、かわいくてどうしようもないくらい。成都パンダ繁育研究基地はすばらしい場所だ。今まで、こんなに大きな竹林を見たことがなかった。ここに来て、パンダを見ることができて本当によかった」と語りました。
大地震によって、臥龍パンダ保護センターと野生パンダの生息地は大きく破壊されたほか、海抜2000メートルから2500メートルのところに広がる竹林にも深刻な被害がでました。竹がなければパンダはどうすることもできません。この時、成都パンダ繁育研究基地がパンダに救いの手を差し伸べました。基地の張志和主任は「基地の中に、10数ヘクタールの規模で竹を栽培している。自然災害など万一のときに、この竹がパンダの命を救います。去年の地震で、本当に役に立った」と述べました。
現在、臥龍のパンダたちは適切な環境下にありますが、臥龍自然保護区を建て直し、一日も早くパンダをもとの生息地に帰らせることが、臥龍パンダ保護研究センターの張和民主任の最大の願いです。張和民主任は「パンダのために急いで仮設の飼育舎などを建てて、パンダを移動しましたが、パンダにとっては快適なところではない。やはりパンダ本来の生息地の臥龍が最も暮らしやすいところだ」と語りました。
このほど、中国パンダ保護研究センターの移転先が決まりました。もとの場所から10キロ余り離れた黄草坪地区です。この場所を選ぶ時、地質的な面からの安全性や、パンダの生活習慣などいろいろな要素を考慮しました。そこはとても広く、環境や気候、水などの面から見ると臥龍地区で最もよいところだと言えます。新しい研究センターの建設プロジェクトにはおよそ14億元(日本円で210億円)が投入されますが、今年7月に全面的に着工することになっています。
また、この再建プロジェクトは、世界各地の人々と様々な国際組織からの支持を受けています。成都パンダ繁育研究基地にある寄付リストには、各国の政府や、国際企業、個人による義捐金が合わせておよそ1200万元(日本円で18億円あまり)が登録されています。これらの資金はパンダの新しい家の建設に大いに役立つに違いありません。
臥龍パンダ保護研究センターでは、人工繁殖によって生まれたパンダの野生化訓練を行い、自然の中に帰す活動を行っています。これはパンダの遺伝子の多様性を保つためにプラスとなります。しかしこの活動は、大地震が起きたために中止しています。今後2、3年以内に、この活動を再開させるためには、大規模な地質災害の防止措置と植樹や植林などを行わなければなりません。張和民主任によりますと、野生のパンダの繁殖は、海抜の低い場所から高い場所へ移動する中で行われます。これは海抜の違いで、竹の子が伸びてくる時期が異なるためです。毎年3月から4月ごろ、交尾をしたメスのパンダは、竹の子を探しながら海抜の低い所から高い場所へと移動していき、8月から9月にかけて、赤ちゃんを産みます。野生パンダの生息地と自然繁殖の環境を作るために、関係部門は保護区の中に暮らす870あまりの世帯に、移転してもらうことも計画しています。
人々の愛に包まれ、私たちが共に努力することで、四川のパンダは新しくそして暖かい家で健やかに成長していくことができると信じています。
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