正浄は、歌いを主としたため、また「唱工花臉」と呼ばれ、厳かでどっしりとした忠臣と優れた大将を演じるのです。そのほか、「銅錘花臉」と「黒頭花臉」という別称があります。これは、京劇中の徐彦昭、包公という二人の人物に関しています。『二進宮』の徐彦昭が歌いの部分がかなり多く、典型的な「唱工花臉」であり、終始「黒虎銅錘」という銅製の鎚をもっているので、「銅錘花臉」は「唱工花臉」の代名詞となっています。また、京劇中の「包公」劇(包拯、北宋の名裁判官)は歌いがとても多く、そして包公が黒い隈取をしているので、「黒頭花臉」も「唱工花臉」の別称となっています。例えば、「包公」劇は『打竜袍』や『鍘美案』などがあるのです。
副浄は「架子花臉」と「二花臉」の総称であり、殆ど民間の英雄や権臣、奸臣などに扮するのです。「架子花臉」はセリフと仕種を主とした役柄で、こなしの優美さを重んじながら、歌いとセリフもなおざりにしてはいけないので、役者がしっかりしている立ち回りの素養が必要で、また表現、セリフ、歌いの方も工夫しなければならないのです。「架子花臉」の外題が多くて、三国志に題材をとった三国劇の張飛、曹操、また水滸伝の李逵などに関するのも、「架子花臉」に属しています。「架子花臉」の中に、曹操劇を取り上げる値打ちがあります。曹操に扮する役者は普通のドーランの代わりに、水おしろいで水白の隈取、言わば曹操を代表とした「奸臣顔」をします。歴史上の奸臣、例えば司馬懿、董卓、厳嵩などはすべてこういう隈取をするのです。「架子花臉」の歌いとセリフは「唱工花臉」と違い、きびきびとして強い勢いが重要なのです。また、「架子花臉」にもう一つの特徴があります。それは、セリフを「京白」で言うときもあるし、方言で言う時もあります。例えば、『審七長亭』の李七が河南省光州の方言を言い、『斬黄袍』の鄭子明が山西の方言を言うのです。「二花臉」の外題が比較的少なく、隈取をしますが表現の風格が違って、ひょうきんでずるい人物を扮します。例えば、『法門寺』中の劉彪、『武松打店』中の大解差などです。
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